独居高齢者の認知症とごみ屋敷症候群の関連を研究
東京都健康長寿医療センター研究所が10年間の追跡調査
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所は、高齢者困難事例研究の一つとして、ディオゲネス症候群(ごみ屋敷症候群)を取り上げ、独居高齢者の認知症が進行して身体機能が衰えてきたときに、適切な支援が得られないことと深く関連することを明らかにしました。
同センターでは、2011年以来継続して、東京都の都市部で暮らす高齢者困難事例の研究を行ってきました。高齢者困難事例が抱える困難事象は複雑ですが、そのなかで、ディオゲネス症候群(ごみ屋敷症候群)は視覚的にとらえやすく、社会からの注目も高い困難事象です。
適切な支援が、認知症患者のごみ屋敷症候群回避のカギ
ごみ屋敷症候群に関する研究は多いものの、どういう人の住まいが、なぜ高齢期になってからごみ屋敷になってしまうのか、そのメカニズムはいまだわかっていません。同研究チームは、これまで10年に蓄積したデータから、ディオゲネス症候群(ごみ屋敷症候群)の臨床的特徴と長期予後を明らかにすることを試み、研究成果は国際誌『International Journal of Geriatric Psychiatry』に掲載されました。
今回の臨床試験では、高齢者困難事例270人について、Environmental Cleanliness and Clutter Scale (Halliday,2009, Snowdon, 2012)をもちいて住環境を評価し、ディオゲネス症候群60人と非ディオゲネス症候群210人の2群に分けて比較が行われました。
その結果、独居高齢者の認知症が進行して身体機能が衰えたとき、適切な支援がなければ、誰もがディオゲネス症候群になる可能性があることが明らかになりました。さらに、彼らの生命予後が不良であることは先行研究でも指摘されていましたが、とりわけ介入から1年以内の死亡率が高いことが明らかになりました。
(画像はイメージです)
▼外部リンク
いわゆるごみ屋敷症候群は、一人暮らしの高齢者が、認知症が進行し身体機能が衰えてきたときに適切な支援が得られないことと深く関連する:10年間の追跡調査にて判明
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