東京都立大ら、タウ蓄積の新たなスイッチを発見

2021年6月25日

ジスルフィド結合のブロックで、認知症での神経細胞死を抑制!?

東京都立大学大学院理学研究科生命科学専攻の斉藤太郎助教と安藤香奈絵准教授らは、同志社大学生命医科学部医生命システム学科の宮坂知宏准教授、学習院大学理学部生命科学科の高島明彦教授と共に、認知症を引き起こすアルツハイマー病などの神経変性疾患の病理的な特徴である、タウの蓄積を引き起こすスイッチとなる新たな変化を発見しました。 タウの蓄積は、「タウオパチー」と呼ばれます。タウは、正常な脳では、脳の細胞の中で支柱やレールとなる微小管という構造を作る役目をしています。しかし、アルツハイマー病などの神経変性疾患では、タウが通常と異なる構造になり、本来の機能を失った異常なタウが蓄積して神経細胞を傷害します。タウは色々な構造をとって存在するので、タウのどのような変化が最も神経細胞死に関わるのかは、はっきりしていませんでした。 研究成果のポイントは次の通りです。 ・タウ病変を特徴とする神経変性疾患(タウオパチー)の発症における、酸化ストレスと神経細胞死をつなぐ分子メカニズムの一つが明らかになった。 ・タウの中にある二つのシステインは、神経細胞内で酸化されるとジスルフィド結合を作る。 ・ジスルフィド結合を作るとタウは蓄積し、神経細胞死を引き起こす。 ・ジスルフィド結合の形成を阻害すると、タウは速やかに分解され、神経細胞死が抑制される。 今回、タウの蓄積を引き起こすスイッチとなる新たな変化が発見されたことで、タウの中のこのスイッチ(ジスルフィド結合)部分をブロックすることで、有害なタウが溜まるのを防ぎ、タウオパチーでの神経細胞死を抑制することができる可能性があります。 (文頭画像はイメージ、文中画像はプレスリリースより) ▼外部リンク タウ蓄積の新たなスイッチを発見!~ジスルフィド結合の形成をブロックすることで、認知症での神経細胞死を抑制!?~
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