千葉大学、細胞外異常タンパク質の除去システムを発見
2020年3月14日
アルツハイマー病治療薬になる可能性も
千葉大学大学院理学研究院、板倉英祐助教らのグループは、血液中など細胞外に生じた異常タンパク質を細胞が自ら取り込み分解・除去する仕組みを発見しました。
細胞の中の異常タンパク質分解の機能はオートファジーと呼ばれ、近年研究が進んでいますが、細胞の外の異常タンパク質に対しても細胞が働きかけられることが今回初めて実証されました。
異常タンパク質の中には、アルツハイマー病の発症を引き起こすアミロイドβが含まれており、この仕組みによってアミロイドβの分解も促進されることから、アルツハイマー病治療への将来的な貢献が期待されます。研究成果は、2月18日に細胞生物学の専門誌『Journal of cell biology』で発表されました。
認知症引き起こす、アミロイドβも異常タンパク質の一つ
人体には約2万種類のタンパク質が存在し、血液中のタンパク質は細胞間の情報伝達や物質輸送の機能を担っています。しかし、タンパク質は熱ストレスや老化に伴い変性し、機能を失った変性タンパク質に変わってしまいます。特に、細胞の外はタンパク質にとっては過酷な環境で変性しやすく、変性したタンパク質が蓄積すると、正常な生体内の機能を阻害します。
例えば、異常タンパク質の一つであるアミロイドβは、蓄積することでアルツハイマー病の発症を引き起こすと考えられています。細胞の中の異常タンパク質を分解する仕組みは、オートファジーと呼ばれ、研究が盛んに進められていますが、細胞の外にある異常タンパク質を細胞が除去する仕組みについては、これまで詳しくわかっていませんでした。
研究者のコメント
今回の研究を主導した千葉大学大学院理学研究院の板倉英祐 助教は、「細胞外の異常タンパク質を選択的に分解するシステムが見つかったことは、生体恒常性維持の仕組みとして全く新しい事象の発見となります。この CRED システムを応用することで、細胞外異常タンパク質の蓄積が誘因となる疾患治療への応用が期待できます」と述べています。
(画像はイメージです)
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