「認知症に関する世論調査」の結果が公表されました

2020年2月20日


令和2年2月に、内閣府より「認知症に関する世論調査」¹⁾が公表されました。調査項目は、認知症に関するイメージや不安など6項目を調査しました。

今回は、認知症に関する世論調査の結果をご説明します。

この記事の執筆
認知症ねっと
認知症ねっと編集部
認知症ねっと
この記事の目次
  1. 「認知症に関する世論調査」とは?
  2. 認知症の人と接する機会の有無
  3. 認知症に対するイメージ
  4. 認知症になった場合の暮らし
  5. 認知症に対する不安(本人自身)
  6. 認知症に対する不安(家族)
  7. 成年後見制度に関する認知
  8. まとめ

「認知症に関する世論調査」とは?

内閣府は、令和元年12月に全国18歳以上日本国籍を有する者3,000人を対象として、世論調査を行いました。(有効回収数1,632人、回収率54.4%)

調査項目は、「認知症の人と接する機会の有無」「認知症に対するイメージ」「認知症になった場合の暮らし」「認知症に対する不安(本人自身)」「認知症に対する不安(家族)」「成年後見制度に関する認知」の6項目で、以下の結果が公表されました。

認知症の人と接する機会の有無

問1あなたは今までに認知症の人と接したことがありますか。それともありませんか。

「ある」61.6%、「ない」37.7%でした。「ある」と回答した1,005人のうち、「家族の中に認知症の人がいる(いた)」と回答した者は47.7%でした(複数回答)。この結果は、前回平成27年に行った結果より4.2ポイント上昇しました。

認知症に対するイメージ

問2あなたは認知症に対してどのようなイメージを持っていますか。(1つのみ回答)

最も多かった回答は、「認知症になると、身の回りのことができなくなり、介護施設に入ってサポートを利用することが必要になる」40.0%でした。前回の平成27年よりも4.1ポイント上昇しました。

2番目に多かったのは、「認知症になっても、医療・介護などのサポートを利用しながら、今まで暮らしてきた地域で生活していける」32.6%でした。前回よりも0.9ポイント減少しました。

認知症になった場合の暮らし

問3もし、あなたが認知症になったとしたら、どのように暮らしたいと思いますか。(1つのみ回答)

最も多かった回答は、「認知症になっても、医療・介護などのサポートを利用しながら、今まで暮らしてきた地域で生活していきたい」28.9%でした。前回の平成27年よりも1.4ポイント減少しました。

2番目は、「認知症になると、周りの人に迷惑をかけてしまうので、介護施設で必要なサポートを利用しながら暮らしたい」27.7%でした。前回よりも0.2ポイント上昇しました。

認知症に対する不安(本人自身)

問4もし、あなたご自身が認知症になったとしたら、どのようなことに不安を感じると思いますか。(複数回答)

上位4項目は、以下の結果でした。

「家族に身体的・精神的負担をかけるのではないか」73.5%
「家族以外の周りの人に迷惑をかけてしまうのではないか」61.9 %
「家族や大切な思い出を忘れてしまうのではないか」57.0%
「買い物や料理、車の運転など、これまでできていたことができなくなってしまうのではないか」56.4%

認知症に対する不安(家族)

問5もし、あなたのご家族が認知症になったとしたら、あなたはどのようなことに不安を感じると思いますか。(複数回答)

上位4項目は、以下の結果でした。

「ストレスや精神的負担が大きいのではないか」65.1%
「家族以外の周りの人に迷惑をかけてしまうのではないか」58.3%
「経済的負担が大きいのではないか」49.7 %
「自分(あなた)や大切な思い出を忘れてしまうのではないか」47.1 %

成年後見制度に関する認知

問6あなたは、「成年後見制度」について、どのようなことを知っていますか。(複数回答)これは、令和元年のみ行っている調査で、以下の結果でした。

「『成年後見制度』は、認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分な方の権利や財産を守る制度である」40.8%
「将来の判断能力の低下に備え、元気な時にあらかじめ後見人となるべき人を決めておく『任意後見制度』がある」30.6%
「本人の判断能力の程度により『後見』、『保佐』、『補助』の 3 類型がある」15.1%
「内容は知らないが言葉を知っている」22.3%
「内容も言葉も知らない」26.7%

まとめ

今回の結果より、【認知症に対するイメージ】は、「介護施設に入ってサポートを利用する」でありながらも、【認知症になった場合の暮らし】では、「医療・介護などのサポートを利用しながら、今まで暮らしてきた地域で生活していきたい」が「介護施設に入って必要なサポートを利用しながら暮らしたい」を上回りました。

厚生労働省²⁾では、地域包括ケアシステムを「2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。」としています。

今回の結果は、地域包括ケアシステムを利用して地域での生活を望んでいる人が多い結果となりました。

また、本人が【認知症に対する不安】として「家族に身体的・精神的負担をかけるのではないか」73.5%、家族が【認知症に対する不安】として「ストレスや精神的負担が大きいのではないか」65.1%、とどちらも精神的負担が大きいと感じていることがわかりました。

認知症は誰でもなる恐れがあります。今回の結果を踏まえて、「自分だったらどう生きたいのか」を考えるきっかけにしてみませんか。



出典:1)内閣府.認知症に関する世論調査(2020年2月18日アクセス)
2)厚生労働省.地域包括ケアシステム(2020年2月18日アクセス)


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