名大ら、ミクログリアが血液脳関門の機能を制御することを発見

2020年1月8日

精神・神経変性疾患の予防法・治療法につながる可能性

名古屋大学大学院医学系研究科の和氣弘明教授(神戸大学先端融合研究環特命教授)らのグループは、脳内の免疫細胞であるミクログリア(脳内唯一の免疫細胞)が血液脳関門の機能を制御することを発見し、そのメカニズムを初めて明らかにしました。

パーキンソン病やアルツハイマー型認知症、統合失調症などの精神・神経変性疾患において血液脳関門機能の異常が示されているため、今後、ミクログリアを介した血液脳関門の機能制御はこれらの疾患の予防法・治療法につながる可能性があります。

ミクログリアの活性化抑制が血液脳関門の機能異常を改善

血液脳関門は、脳環境を体循環系の環境と隔離する構造で、脳内外への物質の行き来を制限することで脳内の環境を一定に保つ働きがあり、感染症や自己免疫疾患などの全身性の炎症によりこの機能は低下することが知られています。しかしながら、全身性の炎症によって血液脳関門の機能がどのように破綻していくのか、その詳細な経過およびメカニズムはこれまで明らかではありませんでした。

今回の研究では、生体2光子顕微鏡を用いて、生きたマウスにおいて、全身性の炎症に伴って血液脳関門の機能が破綻する過程を詳細に観察しました。その結果、血液脳関門に対してミクログリアの作用は時間の経過によって保護的なものから障害的なものへ変化し、血液脳関門機能の制御に重要な役割を担うことが示されました。また、ミクログリアの活性化を抑制することで血液脳関門の機能異常が改善することと、そのメカニズムについて世界に先駆けて明らかとなりました。

研究成果は、令和元年12月20日、英科学誌「Nature Communications」に掲載されました。

(文頭画像はイメージ、文中画像はプレスリリースより)

▼外部リンク
名大・生理学研究所、脳内の免疫細胞であるミクログリアが血液脳関門の機能を制御することを発見


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