理研、アルツハイマー病の悪性化に関わるタンパク質を発見
2019年6月17日
新たな認知症治療薬開発に期待
理化学研究所(埼玉県和光市)の脳神経科学研究センター神経老化制御研究チーム、橋本翔子基礎科学特別研究員らの研究チームは、「CAPON」というタンパク質がアルツハイマー病の悪性化に関わることを発見しました。
アルツハイマー病の病理形成機構としては、アミロイドβペプチド(Aβ)の沈着(アミロイド病理)が引き金となって、タウタンパク質が凝集する神経原線維変化(タウ病理)の形成、神経細胞死に至るという「アミロイドカスケード仮説」が支持されています。しかし、アミロイド病理からタウ病理、神経細胞死への遷移機構は不明でした。
アミロイド病理下の重要な因子
研究チームは、特定のタンパク質と相互作用するタンパク質を網羅的に同定する解析する「インタラクト―ム解析」により、「CAPON」がタウタンパク質と結合することを見いだしました。
そして、ヒトのアミロイド病理を再現するモデルマウスの脳でCAPONを強制発現させると、タウ病理と神経細胞死に伴う脳の萎縮が促進されること、逆に、タウ病理と神経細胞死を再現するモデルマウスでCAPON遺伝子を欠損させると、脳の萎縮が抑制されることが明らかになりました。このことから、CAPONはアミロイド病理下において、タウ病理、神経細胞死を誘導する重要な因子であると考えられます。
本研究は、英国のオンライン科学雑誌『Nature Communications』(6月3日付け)に掲載されました。詳しい内容については、下記外部リンクよりご覧下さい。
(画像はイメージです)
▼外部リンク
理研、アルツハイマー病の悪性化に関わるタンパク質を発見
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