東大ら、乳清に含まれる認知機能改善ペプチドを発見

2019年6月4日

発酵乳由来ペプチドのアルツハイマー病予防効果を発表

東京大学大学院、学習院大学、キリン株式会社の研究グループは、ホエイやチーズなどの乳製品に含まれる一部のペプチド成分が認知機能改善を示すことを明らかにし、認知機能を改善するホエイ中の成分を探索し、Tryptophan-Tyrosine(WY)配列を含むペプチド(WY配列含有ペプチド)を同定しました。

また、これらのWY配列含有ペプチドが神経伝達物質の1つであるドーパミンの海馬における増加を促す作用があることも見出しました。加えて、ホエイタンパク質を特定の微生物由来酵素で処理することにより、WY配列含有ペプチドを高率に含むホエイペプチドを調製できることも見出しました。

さらに、これらのWY配列含有ペプチドやホエイペプチドは、短期的な摂取でも加齢性の認知機能低下を改善する作用があることも確認しました。発酵乳製品に含まれるGTWYペプチド量は次の表の通りです。

日常摂取できる予防食品の開発に期待

チーズやヨーグルトなどの発酵乳製品の摂取が加齢性の認知機能低下を改善し、予防することが疫学調査などにより報告されています。本研究グループもカマンベールチーズの摂取によりアルツハイマー病が予防できる可能性をモデル動物を用いた実験により示してきました。しかしながら、認知機能の低下予防や改善に効果的な発酵乳製品中の成分は未だ解明されていませんでした。

今回、認知機能を改善するペプチド成分が見出されたホエイ(乳清)は、チーズ製造時の副産物で、これまではあまり利用されることがありませんでしたが、本研究の成果によりWY配列含有ペプチドを用いた日常的に摂取しやすい認知症予防食品の開発が期待されます。

(文頭画像はイメージ、文中画像はプレスリリースより)

▼外部リンク
東大・学習院大・キリンHD、乳清(ホエイ)に含まれる認知機能改善ペプチドを新たに発見


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