筑波大、アスタキサンチンと軽運動による海馬機能向上効果を解明
2019年5月31日
効果の程度やメカニズムにまで踏み込んだ研究
筑波大学の征矢英昭教授らの研究グループは、米国ロックフェラー大学ならびに国立研究開発法人産業技術総合研究所との共同研究により、アスタキサンチンと低強度運動との併用が海馬記憶能を相乗的に高めること、さらにその分子機構として海馬内のレプチンの関与を明らかにしました。
運動と機能性成分摂取の併用による有用性はこれまでにいくつかの報告がなされてきたものの、その効果の程度やメカニズムにまで踏み込んだ研究は進展していませんでした。
海馬内のレプチンが関与
本研究グループは、エビやカニなどに含まれるカロテノイドで強い抗酸化作用をもつ天然色素アスタキサンチンに着目し、マウスに4週間に渡って低強度運動を実施させながらアスタキサンチンを食餌に混ぜて摂取させることで、成体海馬神経新生と空間記憶能が相乗的に高まることを明らかにしました。
さらに、この相乗効果を担う分子機構を解明するため、DNAマイクロアレイおよびバイオインフォマティクス解析を用いて海馬内遺伝子発現を網羅的に検討したところ、神経栄養効果を持つレプチンの遺伝子が関与していることが明らかとなりました。レプチンを欠損する遺伝性肥満マウス(ob/obマウス)と脳内へのレプチン投与実験から、脂肪細胞由来ではなく、脳由来のレプチンがこのような相乗効果の発現に貢献することを実証しました。
本研究成果をふまえ、運動と抗酸化成分摂取を組み合わせた認知機能低下防止のための新たな介入プログラム開発が期待されます。
(画像はイメージです)
▼外部リンク
筑波大学、アスタキサンチン摂取は軽運動による海馬機能向上効果をさらに増強する
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