花王ら、大人用超薄型紙パンツによるQOL向上を検証

2019年3月17日

産官学連携による超薄型紙パンツの効果検証

花王株式会社(東京都中央区)、鹿児島県西之表市、筑波大学は、産官学の連携で西之表市住民に対する健康寿命延伸に向けた調査・研究を2018年から行なっています。この度、軽失禁の症状を訴える女性を対象に、吸水機能付き下着としてはける超薄型紙パンツタイプの尿ケア用品を一カ月間使用する研究(介入研究)を実施し、継続使用による心身の機能向上への有効性、およびQOL向上の可能性を示唆する知見が得られました。

西之表市在住の女性71名(73.4±8.5歳)からスクリーニングされた軽失禁群15名に対して行われました。軽失禁群に、普段の下着に替えて超薄型紙パンツタイプの尿モレ用品を一カ月間使用してもらい、使用前後で下記項目を測定しました。

〈認知機能〉ミニメンタルステート調査(MMSE)
〈身体計測〉身長、体重、体組成(筋量、脂肪量など)
〈中枢神経系測定〉脳年齢および脳ストレス測定、脳実行機能測定
〈身体機能測定〉歩行動作測定(歩幅、歩隔、スピード等)、30秒椅子立ち上がりテスト(CS-30)
〈心理機能〉主観的健康観尺度(WHO SUBI)(※)

(※)主観的健康観尺度(WHO SUBI): 心の疲労(陰性感情)と健康(陽性感情)に目を向けたWHOが開発した質問群で心の健康状態、人間関係や身体の健康感など、精神生活を総合的に評価できる。

認知機能・身体生理機能などが向上

検証の結果、吸水機能付き下着としてはける超薄型紙パンツタイプの尿ケア用品の一カ月継続使用したことにより、軽失禁群でミニメンタルステート調査(認知機能の障害があるかどうかを調べる質問紙による検査)の得点が上昇し、認知機能の向上が認められました。

また、身体生理機能のうち、「重心動揺総軌跡長(身体動揺の不安定さの指標)」が有意に減少し、歩行パターンにおける「歩隔の広さ」と「30秒椅子立ち上がりテスト」にも向上が見られました。

さらに質問群による心の評価では、軽失禁群の「自信」が使用後に高まり、使用前には存在した非失禁群との有意差が認められなくなりました。これらから、軽失禁群が超薄型紙パンツを継続使用することはQOL向上につながる可能性が示唆されました。

本研究内容は、第20回健康支援学会・学術集会(2019年3月2~3日、宮城県)及び2019年自然と共生するスマートエコアイランド種子島シンポジウム(2019年3月9日、鹿児島県)において発表されました。今後も産官学の連携による健康寿命延伸・QOL向上に向けた取り組みや研究を行なっていきます。

(文頭画像は花王公式HPより、文中画像はプレスリリースより)

▼外部リンク
大人用超薄型紙パンツの継続使用による軽失禁群*1 のQOL向上の可能性を示唆


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