アサヒと筑波大「乳由来のラクトトリペプチドは脳を活性化させる」

2019年1月31日

カルピス乳酸から生まれた「ラクトトリペプチド」

筑波大学体育系、前田清司教授の研究グループは、アサヒグループホールディングス株式会社との共同研究により、発酵乳から見つかった「ラクトトリペプチド」が脳の活性化に効果的であることがわかりました。

「ラクトトリペプチド」は血管を若返らせることも知られており、これまでに同研究グループは「ラクトトリペプチド」を摂取することで高めの血圧を下げることや、摂取と運動習慣を組み合わせることで血管内皮機能が改善されることを突き止めており、今回、世界で初めて、脳の活性化にも効果的であることを明らかにしたものです。

明らかな疾患のない中高齢者64名を、サプリメント群とサプリメントと運動を併用する運動+サプリメント群に分け、各群の半数は「ラクトトリペプチド」を、残りの半数はプラセボという効果のないサプリメントを8週間毎日摂取してもらいました。そして、サプリメント群は普段と変わらない生活を送り、、運動+サプリメント群は大学にて30〜45 分間のフィットネスバイク(自転車運動)やウォーキング(歩行運動)を行う運動教室に週4〜6日参加しました。

運動習慣との組み合わせで脳を活性化

脳の活性化を評価するために、機能的近赤外線分光法を用いて前頭前野の脳酸素化ヘモグロビン濃度の変化を測定しました。また、認知機能の評価にはストループ課題(注意選択機能や遂行機能などの実行機能を評価する認知課題の一つ)を実施しました。これらの測定項目を8週間の研究期間の前後で比較し、「ラクトトリペプチド」の効果を検証しました。

サプリメント群および運動+サプリメント群ともに、プラセボを摂取したグループと比較して、「ラクトトリペプチド」を摂取したグループでは左右の前頭前野の脳活性化が向上することが明らかになりました(上の図)。さらに、「ラクトトリペプチド」摂取による左前頭前野の脳活性化の上昇が認知機能の向上と関連することが認められました(下の図)。これらのことから、運動習慣の有無にかかわらず「ラクトトリペプチド」を継続的に摂取することで、脳が活性化され、認知機能向上につながる可能性が示されました。

「ラクトトリペプチド」 (Lactotripeptide):
「カルピス酸乳」の研究により発見され、乳カゼインが乳酸菌で発酵分解される過程で生成された3つのアミノ酸が結合したトリペプチドで、「ラクトトリペプチド」とは1つのバリンと2つのプロリン(バリン-プロリン-プロリン; VPP)と1つのイソロイシンと 2 つのプロリン(イソロイシン-プロリン-プロリン; IPP)の 2 つのトリペプチドの総称です。「ラクトトリペプチド」には、血管の収縮に関係するアンジオテンシン変換酵素を阻害する働きがあり、高めの血圧を下げることや、血管内皮機能を改善することが検証され、注目されている成分の一つです。

(文頭画像はイメージです。文中画像はプレスリリースより)

▼外部リンク
筑波大学、乳由来の「ラクトトリペプチド」は脳を活性化させる!


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