エーザイ株式会社の抗アルツハイマー型認知症薬「アリセプト」が中国進出
中国での患者数約700万人
エーザイ株式会社は、3月3日、「アリセプト(R)」(一般名:ドネペジル塩酸塩)について、高度アルツハイマー型認知症(AD)に関する適応追加申請が、中国の江蘇省食品薬品監督管理局に受理されたと発表した。「アリセプト(R)」の中国語表記は、「安理申(R)」。
現在、中国での認知症患者の数は、世界で最も多い約700万人(Jia J, Wang F, Wei C, et al. The prevalence of dementia in urban and rural areas of China. Alzheimers Dement 2014; 10: 1-9.)と推定される。中国では今後、高齢化が進むにしたがい、その数がますます膨れあがることが予想される。
中国人高度AD患者313名を対象に
「アリセプト」は、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症の進行を抑制するとされており、エーザイの杉本八郎氏らによって開発された。早期使用により認知機能の一時的な改善をもたらすが、ADの病態を治療、または悪化を防ぐ薬剤ではない。
今回、追加申請としておこなわれた臨床第3相試験は、「アリセプト」10mg/日の有効性ならびに安全性を評価するもので、プラセボを対照とした比較試験。中国人の高度アルツハイマー型認知症患者313名を対象としておこなわれた。
軽度から高度ADまでの治療薬として
同試験において「アリセプト」投与群は、プラセボ投与群にくらべると、投与後24週目における認知機能(Severe Impairment Battery)に関して、概ね良好な結果が得られた。
なお今回の試験において観察された主な副作用は、徐脈、食欲減退、心電図QT延長、浮動性めまい、下痢、体重減少であった。
「アリセプト」は現在中国において、軽度及び中等度ADへの適応が認められている。今回高度ADへの適応が承認されると、同薬は中国でのアルツハイマー型認知症治療薬としての幅を広げることとなる。
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