エーザイと英UCL、アルツハイマー病新薬の試験に向け準備開始

2019年1月10日

神経変性疾患の進行抑制に期待

エーザイ株式会社(東京都文京区)と英国のユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)は、共同研究としては最初の臨床候補品となる新薬(E2814)について、アルツハイマー病患者を対象とした臨床試験の準備を始め、2018年度中の実施を目指すことを発表しました。E2814は抗タウ抗体であり、アルツハイマー病、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、ピック病など、病理像としてタウ蛋白の脳内沈着を示す神経変性疾患の総称である「タウオパチー」の進行抑制が期待されます。

アルツハイマー病は、アミロイドβ凝集体からなるアミロイドプラーク(老人斑)およびタウ蛋白の脳内の沈着物から形成される神経原線維変化を特徴とする慢性進行性神経変性疾患です。Tau Seed(タウ伝播種)は、病気の進行とともに脳内の異なる部位にタウ病変として拡散することが知られています。E2814は、このタウ伝播種を標的とするよう特徴的に設計されており、神経原線維変化のさらなる脳内蓄積を防ぎ、病気の進行を抑制することが期待されます。

「共同研究の成果を新薬に繋げたい」

エーザイ・ニューロロジービジネスグループのチーフディスカバリーオフィサーである木村禎治執行役は、「アルツハイマー病等の神経変性疾患は、その病態の進行を防ぐ効果的な治療法がなく、未だアンメット・メディカル・ニーズが高い疾患領域であり、その克服に貢献することはエーザイの使命であると考えています。世界でも有数の神経変性疾患に関する研究機関であり、かつ英国認知症研究所のハブであるUCLと、認知症治療に対する豊富なパイプラインを有するエーザイとのナレッジの融合により、E2814をはじめとする共同研究の成果を新薬に繋げ、治療薬を待つ患者様に一日でも早く貢献できるよう全力を尽くします」と述べています。

認知症の患者数は、全世界で約5,000万人と推計されています。世界の人口高齢化が進む中、認知症患者様は増加の一途をたどり、2030年には約8,200万人、2050年には約1億5,200万人に達すると予測されています。認知症への取り組みは世界的な課題であり、有効な治療法が見つかっていない病気に対する強い要望(アンメット・メディカル・ニーズ)を充足する治療剤の早期開発が期待されています。

(画像はイメージです)

▼外部リンク
エーザイと英UCL、新規抗タウ抗体「E2814」についてアルツハイマー病を対象とした臨床第I相試験に向け準備開始


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