東大・学習院・キリン、乳清の認知機能改善ペプチドを発見

2018年9月29日

乳製品に含まれる有効成分を特定

東京大学、学習院大学、キリン株式会社の研究グループは、乳清(ホエイ)に含まれる認知機能改善成分としてペプチド(WY配列含有ペプチド)を新たに見出し、ホエイやチーズなどの乳製品に含まれる一部のペプチド成分が認知機能改善を示すことを明らかにしました。WY配列含有ペプチドを多く含むホエイペプチドやチーズを摂取することによる認知症の予防効果が期待されます。

アルツハイマー病などの認知症は、日本で460万人、世界では2,400万人が患っているものの、有効な治療法は確立されていません。治療法の研究とともに、日常生活に取り入れる認知症予防の開発も注目され、チーズ等の発酵乳製品に認知機能の低下予防効果が報告されています。がありました。研究グループもカマンベールチーズの摂取によりアルツハイマー病が予防できる可能性をモデル動物により示してきましたが、発酵乳製品中のどの成分が効果を発揮しているかは、解明されていませんでした。

短期的な摂取でも加齢性の認知機能低下を改善

研究グループは、認知機能を改善するホエイ中の成分を探索し、Tryptophan-Tyrosine(WY)配列を含むペプチド(WY配列含有ペプチド)を同定しました。また、これらのWY配列含有ペプチドが神経伝達物質の1つであるドーパミンの海馬における増加を促す作用があることも見出しました。

ホエイタンパク質は特定の微生物由来酵素で処理することにより、WY配列含有ペプチドを高率に含むホエイペプチドを調製できることも発見、さらに、これらのWY配列含有ペプチドやホエイペプチドは、短期的な摂取でも加齢性の認知機能低下を改善する作用があることも確認しました。

ホエイはチーズ製造時の副産物で、これまではあまり利用されることがありませんでしたが、酵素処理によって認知機能改善効果を有するWY配列含有ペプチドを産生することで有効利用が可能となります。WY配列含有ホエイペプチドを用いた日常的に摂取しやすい認知症予防食品の開発が期待されます。

(画像はイメージです)

外部リンク

東大と学習院大など、乳清(ホエイ)に含まれる認知機能改善ペプチドを新たに発見


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