長寿医療センター、「しゃべりながら歩き」と認知症の関連を解明
2018年5月26日
2重課題歩行でわかる認知症リスク
東京都健康長寿医療センター研究所の桜井良太研究員とウエスタンオンタリオ大学医学部(カナダ)らの共同研究グループは、簡単な暗算などの認知的負荷がかかる課題をやりながら歩行した際に、歩行速度が遅くなる高齢者ほど嗅内野(きゅうないや)の萎縮が進んでいることを明らかにしました。
軽度認知障害(MCI)において、何かをやりながら歩いた(2重課題条件下)時、歩行速度が顕著に下がる人ほど認知症発症リスクが高いことは、ウエスタンオンタリオ大学医学部(カナダ)が明らかにしていましたが、その詳細は不明でした。
歩行速度が下がるほど、嗅内野が萎縮
研究チームではMCIの高齢者を対象に、2重課題歩行検査に加えて、脳構造を調べることができるMRI検査を行い、特に認知症患者で特異的に萎縮が認められる「海馬」と「嗅内野」という脳部位に着目して2重課題歩行検査の成績との関連性を検討しました。その結果、2重課題歩行時に歩行速度が遅くなる高齢者ほど左側の嗅内野の容量が萎縮していることが明らかになりました(通常の歩行速度とは関連なし)。
研究成果は、国際雑誌「Journal of Gerontology: Medical Sciences」オンライン版(5月15日付)に掲載されました。
(文頭画像はイメージ。文中画像はプレスリリースより)
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東京都健康長寿医療センターは、なぜ「しゃべりながら歩く」能力が認知症発症に関連するのかを明らかにしました。
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