東京医科歯科大、アルツハイマー病と前頭側頭葉変性症の共通病態を発見

2018年2月17日

新たな早期治療法の開発に貢献

東京医科歯科大学・難治疾患研究所/脳統合機能研究センター・神経病理学分野の岡澤 均教授の研究グループは、認知症の多くを占めるアルツハイマー病、前頭側頭葉変性症の共通病態を発見しました。

前頭側頭葉変性症とアルツハイマー病に共通する病態、タウタンパク質異常リン酸化とそのシナプス局在を発見、タウタンパク質リン酸化が、シナプス障害を通じて認知症状を引き起こしていることを明らかにしました。さらに、タウタンパク質異常リン酸化につながるシグナルを解明しました。

本研究成果は、アルツハイマー病において、アミロイド抗体療法の失敗の後に、タウタンパク質を新たな治療開発の標的分子とする戦略が、前頭側頭葉変性症においても適応可能であることを示唆しています。

知られていなかった治療標的分子

また、治療標的分子として従来は知られていなかった分子(Tyro3, Gas6, B-raf )を見出し、それらを阻害する作用を持ち、臨床使用されているVemurafenibなどの薬剤や、AAVノックダウンベクターを用いた遺伝子治療が、将来的な治療開発の選択肢であることを具体的に証明しました。

研究グループは研究成果のポイントについて次のようにまとめています。

●前頭側頭葉変性症においてタウタンパク質の異常リン酸化が生じることを示しました。
●異常リン酸化タウタンパク質はシナプスを障害していました。
●タウタンパク質異常リン酸化の上流シグナルを明らかにしました。
●異常リン酸化タウタンパク質によるシナプス障害はアルツハイマー病と前頭側頭葉変性症に共通する病態と考えられました。
●タウタンパク質と異常リン酸化シグナルを標的とする早期治療の可能性を示しました。

(画像はプレスリリースより)

▼外部リンク
「アルツハイマー病と前頭側頭葉変性症の共通病態を発見」【岡澤均 教授】


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