【田平武先生インタビュー】第2回:認知症の早期発見から治療の流れ

2017年8月10日

順天堂大学大学院客員教授     田平武先生インタビュー

田平武先生

認知症予防の専門家として、数多くのセミナーで講演を行う田平武先生。インタビュー第2回目は、重要とされる認知症早期発見のポイント、早期発見後に行われる治療についてお伺いしました。

第1回インタビュー「認知症予防の今」はこちらから

話し手
田平武先生
順天堂大学大学院客員教授
田平武先生
この記事の目次
  1. 発症リスク段階での早期発見ポイントは「味覚・嗅覚・聴覚」
  2. 認知症早期発見に役立つ検査とは
  3. 早期発見からの治療

順天堂大学大学院の客員教授として、また、日本認知症学会専門医として、数多くの認知症患者と向き合ってこられた田平武先生。認知症に関わるセミナーでの講演も行っており、2017年3月に行われた認知症予防セミナーでの認知症の早期発見の重要性を唱えた講演は、参加者の注目を集めました。

田平先生のインタビュー第2回目は、認知症における早期発見の重要性や早期発見のポイント、発見からどのような治療が行われるのかをお聞きしました。

発症リスク段階での早期発見ポイントは「味覚・嗅覚・聴覚」

――認知症は早期発見が重要とされていますが、初期段階で発見することは難しくはないのでしょうか。

現在、認知症になってからではなく、その前の発症リスクの段階での早期発見法は進んできています。最近注目されているのは『味がわかりにくくなる』という症状です。料理の味が塩辛くなるなどして家族に指摘される。これは認知症の初期症状である可能性が非常に高いんです。

――味覚が落ちてくるということですか。

そうですね。それから、味覚だけでなく嗅覚も落ちてきてにおいがわからなくなってきます。それから聴覚ですね。話をしていると「え?」と聞き返してくるのですが、音を聞かせると『聞こえてます』って言うんですよ。音は聞こえているけど言葉の情報として入ってこない。つまり、言葉の理解力の低下なんです。

認知症早期発見に役立つ検査とは

――「認知症ねっと」のユーザーからのご質問でよく「家族の認知症をチェックしたいが検査みたいなものはありますか?」と聞かれるのですが、本人や家族でチェックできる手段というのはあるのでしょうか。

時計を描かせて形が崩れていれば認知症の傾向があるといわれています。あとは、手で動物の形をつくるというもの。認知症の場合、手できつねはつくれても鳩の形をつくるのは難しい。

――血液検査で認知症がわかるというものも開発されたと聞きましたが…。

あります。いろいろな種類が出ていてかなりの確率でわかるようになってきています。100%血液検査でわかるわけではなく間違える場合もありますが、しないよりはした方がいいかなと。今後さらに精度が上がっていくと思います。

早期発見からの治療

――認知症の早期発見後はどのような治療が行われるのでしょうか。

現在、アルツハイマー型認知症に関してはドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチンという4つの薬を組み合わせる治療が行われています。これによって少し進行を遅らせるんです。

――サプリメントなどもありますよね。

認知症の原因となる凝集体(編集部注:認知症の原因とされるタンパク質が集まり、塊を形成すること)が作られるのを防ぐサプリメントというのはありますよ。それの代表がクルクミン、いわゆるウコン。それでも、発病してから摂り始めるでは遅いんです。私たちが食べ物で予防する場合には、何年もの期間が必要です。いきなりそのサプリメントを飲ませて半年や1年や2年見たところで、それはとてもじゃないけど短すぎるんですよね。

――認知症を薬で治すことはできるのでしょうか。

根本的な治療薬については現在世界中が取り組んでいます。今一番期待されているのが「アデュカヌマブ」という薬で、認知機能にも少し改善効果が出ているということです。ただ、現在行われているのは前述した進行を遅らせるという治療です。この治療はどのステージでもある程度効果はありますが、できるだけ早く発見し早く治療を始めた方がよいと言われています。つまるところ、やはり早期発見、そして早い時期からの予防が大切ということなんですね。

次回は、認知症の早期発見・予防の今後について詳しくお伺いします。

【田平武先生インタビュー】第1回:認知症予防の今:脳のネットワークをつくる

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