アルツハイマー病の原因となる遺伝子を推定(東北大学)

2017年7月24日

特殊な遺伝子”オオノログ”に着目

東北大学大学院生命科学研究科の研究グループが、アルツハイマー病の原因となる遺伝子を多数推定することに成功しました。研究では、”オオノログ”という特殊な遺伝子に着目。この手法は、アルツハイマー病以外の病気への応用も期待されます。

この研究の成果は、Molecular Biology and Evolution誌(電子版)に掲載されました。

遺伝子量の変化が発症の原因に

オオノログとは、脊椎動物の進化の初期にあたる5億年前に、持っている全ての遺伝子の数が倍になるという現象(全ゲノム重複)が起こった後、残った重複した遺伝子のこと。人間が持つ2万の遺伝子のうち、約30%がオオノログであることがわかっています。

ヒトの遺伝子は通常、父母から1コピーずつ、合計2コピー受け継ぎます。しかし近年、個人によって1つの細胞あたり、ある遺伝子は1コピーのみ、もしくは3コピー以上あるなど、遺伝子のコピー数には個人差(コピー数多型)があることが判明。数の変化に影響を受けやすい(数の変化に弱い)遺伝子は、病気を引き起こすこともわかっています。アルツハイマー病も遺伝子量の変化が発症の原因と考えられている病気のひとつです。

今回の研究では、数の変化に弱いオオノログを含むコピー数多型は、病気との関連が強いという点に着目。これまで、コピー数多型の中には複数の遺伝子が含まれているため、オオノログからの情報のみでは病気の原因となる遺伝子の特定が困難でした。しかし今回は、アルツハイマー病の患者の脳での遺伝子発現量調査や、マウスを用いた遺伝子機能の調査を行うことにより、原因となる遺伝子の絞り込みに成功しました。

統合失調症など他の病への応用に期待

解析の結果、絞り込まれた遺伝子群は、脳の神経に関わる機能を持ち、脳での発現量が高く、これまでに知られていたアルツハイマー病の原因遺伝子の特徴を持っていることが判明。これにより、遺伝子数の変化が発症に関わる病気においては、オオノログを利用すれば原因遺伝子の推定ができることが示されました。研究グループは「進化学的なアプローチを医学へ応用した重要な報告」であるとしています。

今後、アルツハイマー病以外にも、統合失調症など遺伝子数の変化が発症に関わる病気への応用が期待されます。


▼外部リンク
東北大学プレスリリース


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