全国調査「介護の主な原因」認知症が初めてトップ
3年に1度の大規模調査の結果
厚生労働省が27日、平成28年度の国民生活基礎調査の結果を発表しました。それによると、介護が必要となった主な原因で、認知症が初めて1位になったことが明らかになりました。
国民生活基礎調査は、保健、医療、福祉、年金、所得などの国民生活の基礎的事項を厚生労働省が調査するもので、3年ごとに大規模な調査が行われています。平成28年も大規模な調査の実施年に当たり、6月から7月にかけて行われました。介護については約8千人を対象に調査が行われ、約7千人から回答を得て集計しています。ただし、熊本県については熊本地震の影響により、調査を実施していないため、今回の結果は熊本県分を除いて集計されました。
老老介護は5割以上、要介護度4までの原因1位が認知症
まず調査結果の「世帯の状況」から注目すべき点は、高齢者世帯の割合が過去最高を記録し1327万1千世帯になったことです。これは全世帯のうち26.6%を占めており、超高齢化社会が確実に迫ってきていることがわかります。
「介護の状況」では、親などの要介護者を自宅で介護している人のうち、要介護者と介護者自身が互いに65歳以上の世帯は54.7%。75歳以上でも30.2%となり、どちらも過去最高を記録。また、要介護度3以上では、介護にかける時間が「ほとんど終日」である割合が多くなっています。さらに、同居の主な介護者の悩みやストレスについては、68.9%が「悩みがある」と回答。そのうち「家族の病気や介護」を悩みの原因とあげる人は、男性73.6%・女性76.8%と高い割合でした。老老介護の増加と、過酷な実態が伺えます。
介護が必要となった主な原因を見てみると、1位が認知症で18.0%。2位が脳血管疾患(脳卒中)で16.6%。3位が高齢による衰弱で13.3%。要介護度別では、要介護者から要介護度1〜4までの原因の1位を認知症が占めていました。老老介護の増加や「要介護度3以上では介護にかける時間がほとんど終日」である割合が多い事実から鑑みて、認知症介護の負担の大きさが懸念されます。
今回の調査で超高齢化社会と認知症患者の増加の実態がまざまざと明らかになりました。国だけでなく民間でも対策は進められていますが、さらなる早急な手立てが必要となっているのかもしれません。
▼外部リンク
平成28年国民生活基礎調査の結果
平成28年国民生活基礎調査の概況 IV 介護の状況
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