アルツハイマー病の原因タンパク質は従来の考えよりも100倍速く悪性化する

2014年11月25日

タンパク質を音と光で計測する世界初の装置を開発

大阪大学基礎工学研究科の荻博次准教授と蛋白質研究所の後藤祐児教授らによる研究グループは、目と耳を持つタンパク質反応解析装置の開発に世界で初めて成功したと発表した。

現在、タンパク質の観察には一般的に蛍光顕微鏡が用いられており、目標のタンパク質に蛍光物質を付着させて動向を観察する。しかしアルツハイマー病の原因タンパク質のように多様な構造を取る場合、全ての構造に蛍光物質を取り付けることは不可能。計測できない「見えない構造」のなかに、アルツハイマー病の原因を解明するヒントが隠されていると考えられていた。

ベルの音によって見えない構造も計測可能に

今回開発された装置では、無色透明の「水晶のマイクロ・ベル」を導入。タンパク質の反応をベルの音によって聞き、さらに「エバネッセント領域」という限定的な光の領域により、分子レベルでタンパク質の変化を観測できる。

光透過性の高い水晶を溶液内に設置して音色を計測する方法は世界でも初めての試み。「見える」タンパク質は従来の蛍光顕微鏡で観測し、「見えない」タンパク質はベルにより聞き取ることで、タンパク質間の反応がより詳細に計測可能となる。

アルツハイマー病の研究や創薬への貢献も期待される

同研究グループはアルツハイマー病の原因タンパク質の凝集反応を観察。「見えない」構造のタンパク質の生成を確認後、しばらく経過観察を続けると突然「見える」繊維状の構造が大量に発生した。

「見えない構造」のタンパク質が毒性の高い「見える構造」へ変態したと考えられ、その速さは従来考えられてきた速度の100倍に及んだ。同装置を用いてさらにタンパク質反応の観察を行うことで、疾患メカニズムの解明や創薬の進行などへの寄与が期待される。

(画像は研究リリースより)

▼外部リンク
大阪大学リソウ/研究リリース


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