和漢薬から新たなアルツハイマー病創薬の可能性
骨砕補エキスの成分が脳内の神経細胞を修復
富山大学の研究グループが、和漢薬からアルツハイマー病の記憶障害を改善する化合物や仕組みを見出す新たな手法によって、生薬の「骨砕補エキス」内の成分が脳内の神経細胞を修復し、記憶が改善することを突き止めました。
これにより、新たなアルツハイマー病治療薬が創製される可能性が出てきました。この研究成果は、19日、科学誌「フロンティアズ イン ファーマコロジー」に掲載されました。
多くの化合物からなる和漢薬のどの成分が有効か特定
富山大学和漢医薬学総合研究所神経機能学分野の楊志友さん、久保山友晴助教、東田千尋教授の研究グループは、かねてから和漢薬の中にアルツハイマー病にで破綻した脳内の神経回路網を再修復する薬物を見つけており、病態が進行していても、それらの薬物が記憶障害を回復させることができることを明らかにしていました。しかし、和漢薬には、多くの化合物が含有されているため、有効な化合物を特定することや有効な利用法が困難でした。
今回、同研究グループは、アルツハイマー病モデルマウスに骨砕補エキスを口から投与。その際に微量な成分も検出できる質量解析法によって脳内を分析し、骨砕補のどの成分が作用しているのか特定を試みました。
その結果、骨砕補エキスから脳内に移行する化合物は「ナリンゲニン」と「ナリンゲニングルクロン酸抱合体」であることが明らかに。この2つの化合物が、脳内の神経細胞の形成に関わる「CRMP2」というタンパク質と結合。これにより、アルツハイマー病によってリン酸化したCRMP2が非リン酸化し、情報伝達を担う神経細胞の突起「軸索」の働きが回復し、記憶が改善することがわかりました。
この新手法を使えば、アルツハイマー病の進行を食い止める新たな治療薬が創製できると期待されています。
(画像はニュースリリースより)
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富山大学ニュースリリース
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