世界初、認知症の原因とされるアミロイド線維の人工作製に成功

2017年6月2日

認知症などのメカニズム解明につながる期待

奈良先端科学技術大学院大学、台湾国立交通大学の共同研究グループは、光が物質に当たると生じる圧力(光圧)を用いて、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病発症の原因となるアミロイドβタンパク質の凝集体・アミロイド線維を、溶液中の任意の場所と時間に人工的に作製する技術を世界で初めて開発しました。

この成果は今後、認知症を始めとしたアミロイド線維の沈着が原因とされる疾患のメカニズムの解明につながりそうです。

レーザーを照射し、狙いの場所に生成

アミロイド線維とは、タンパク質が規則的に連なった集合体。体内で沈着するとアルツハイマー型認知症やパーキンソン病などさまざまな疾患を引き起こすと考えられています。そのため、こうした疾患の治療や予防法の開発には、アミロイド線維の生成メカニズムを解明することが不可欠ですが、これまで、アミロイド線維の生成場所と時間を予期したり、制御したりすることは不可能とされており、生成メカニズムは明らかにされていませんでした。

今回、奈良先端科学技術大学院大学の杉山輝樹客員教授、廣田俊教授、台湾国立交通大学の増原宏講座教授らの共同研究グループは、レーザー光を溶液中に急激に絞り込むと、光と溶液中に存在する物質の相互作用によって、1立方マイクロメートル程度の極小領域にその物質を集めることができる技術を利用。心臓に多く存在するタンパク質「シトクロムc」の複合体が入った溶液にレーザーを照射し、シトクロムc3の複合体を局所的に集め、これを材料に球状のアミロイド線維凝集体を、狙い通りの特定の場所に作製することに成功しました。

今後さらに多くの種類のタンパク質に対して、この手法が有効であることが判明すれば、より多くの疾患のメカニズムの解明が期待できます。

次世代ナノテクノロジー素材の開発も

さらに、この実験の成功は、次世代のナノテクノロジー素材など新規材料の開発につながることも期待されています。

レーザー光のオンオフにより、球状アミロイド線維凝集体を連続的に作製し、光を操作することで溶液中に凝集体を自由に配列することができます。アミロイド線維は非常に強固な構造を持つことが知られているため、この技術を使って自由自在にアミロイド線維を配列すれば、次世代のナノ機能材料となりうるのです。

今回のアミロイド線維の人工作製成功は、さまざまな疾患の解明に通じるだけではなく、アミロイド線維の新たな可能性を切り拓くことになりそうです。

(画像はプレスリリースより)

▼外部リンク
奈良先端科学技術大学院大学プレスリリース


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