細胞内の不良品タンパク質の分解メカニズムを解明

2017年5月24日

アルツハイマー病などの成因解明につながる可能性

東北大と熊本大と京産大などの研究グループが、細胞内の構造異常のタンパク質がどのように効率よく分解促進されているのか、メカニズムを解明しました。これにより、体内で不良品タンパク質が過剰に蓄積することで引き起こされる、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患の成因解明につながる可能性がでてきました。

この研究の成果は、5月4日(米国東部時間)に「Structure」のオンライン速報版で公開されました。

不良品タンパク質の分解を促進するタンパク質に着目

細胞内では、正常なタンパク質がさまざまな結合や作用によって、複雑な構造を作っています。これを、高次構造と呼びます。その高次構造を形成・促進するのが、ジスルフィド結合形成因子などの因子です。

このように細胞内の小胞体には、この高次構造の形成を促進する仕組みがある一方、構造異常のタンパク質を速やかに分解・除去するための巧妙な品質管理システムも存在します。

東北大学の稲葉謙次教授、熊本大学の小椋光教授、京都産業大学の永田和宏教授らのグループは、哺乳動物細胞の小胞体の中で誤って形成されたジスルフィド結合を還元し、小胞体関連分解と呼ばれる分解機構を促進させるタンパク質「ERdj5」に着目。ERdj5にある、N末端側クラスターとC末端側クラスターと呼ばれる2つのクラスター(集合体)の動きを観察したところ、C末端側クラスターが動き、新たな構造になることが、誤って形成されたジスルフィド結合の還元に必要であることが明らかになりました。

また、高速原子間力顕微鏡を使うことで、ERdj5のC末端側クラスターが、N末端側クラスターに対してダイナミックに動いている様子を一分子レベルで観察することに世界で初めて成功。さらに細胞を用いた実験により、ERdj5のC末端側クラスターの動きが、構造異常タンパク質中のジスルフィド結合の還元と分解・促進に重要な役割をもつことが判明しました。

今後、さらなる分解メカニズムへの理解を期待

しかし今回の研究によって、ERdj5のすべてが解明されたことにはなっていません。ERdj5がジスルフィド結合を還元するために、何を源にしているのか。構造異常タンパク質を速やかに分解するための還元経路に関する理解がさらに深まることが期待されています。

(画像はプレスリリースより)

▼外部リンク
Structureオンライン速報(英文)
日経新聞プレスリリース
日経新聞プレスリリース添付ファイル


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