認知機能を遠隔で診断できる可能性~慶大の研究
2016年12月14日
高精細で遅延の少ないビデオ会議システムを使い臨床試験
慶應義塾大学(以下、慶大)は11月30日、慶大医学部の研究グループが、認知症等の精神科領域における遠隔医療について、診断と治療の両方で有用性があることを、臨床研究としては国内で初めて実証しました。
このうち、「高齢者に対するビデオ会議システムを用いた改訂長谷川式簡易知能評価スケールの信頼性試験」では、認知機能の診断を遠隔で実施しました。
この試験には、60歳以上のアルツハイマー型認知症患者、軽度認知障害者、健常者の合計30名が研究に参加しました。そして高精細で遅延の少ない映像や音声を届けるビデオ会議システムを使い、通常は対面で行う「改訂長谷川式簡易知能評価スケール」を遠隔で実施しました。
遠隔で行った検査スコアを対面のときの検査スコアと比べたところ、非常に高いスコアの一致率があることが証明されました。
なぜ精神科で遠隔医療が期待されているのか
日本では現在、精神科患者数は700万人以上いると推定されていて、その数は増加しています。しかしながら、患者の高齢化、担当できる医師が近くにいない、あるいは症状がもとで外出しにくい等が原因で、専門性の高い診断や治療が受けづらい状況が存在します。
一方、精神科の診療は、患者と医師等がお互いの顔を見ながら話すことさえできれば診療の大部分が行えます。
そこで、一般に使われるようになってきているテレビ電話のような技術が応用すれば、患者を取り巻く問題を解決する手段となり得ます。
遠隔医療を実際の導入に結びつけるため、遠隔で行う診断精度や治療成績が対面での治療と同等、あるいはそれ以上であることを科学的に証明する必要があり、今回のような研究が行われています。
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