ホップによる苦み成分にアルツハイマー予防効果が確認される

2016年12月8日

苦み成分イソα酸がアルツハイマー病の予防効果を有することが明らかに

平成28年11月28日キリン株式会社は、ビールの苦み成分であるホップに含まれるイソα酸に、アルツハイマー病の予防効果及びその作用機序が世界で初めて明らかになったと発表しました。研究は東京大学及び学習院大学により行われたもの。

ビール成分に対する認知症予防効果検証が進んでいなかったことを受けて

昨今、高齢化の波も後押しとなり認知症を抱える高齢者が増加しています。これは世界規模の現状ですが、一方で根治的な療法が未だ明らかとされておらず、こうしたことから日常的な予防法について注目されているのです。

また、適量としての飲酒は認知症を予防し得るとの報告が疫学研究によりなされていますが、これは多くの場合赤ワインによるものでありビール成分によるそれは、あまり研究されていませんでした。

そこで、キリンは東京大学や学習院大学と手を組みアルツハイマー型認知症に対する、ホップ由来の苦み成分のその予防効果について検証したのです。

脳内における老廃物除去細胞の活性化とアミロイドベータ等の抑制を確認

今回検証のため行われた研究は、アルツハイマー病モデルマウスを用いたもので、イソα酸を混ぜたえさを3か月間与え続けることで行われました。また、エピソード記憶等を評価する試験及び神経細胞のシナプス量及び、サイトカインに代表される炎症物質量を測定したのです。

それによると、ビールに苦みをもたらすホップ由来成分イソα酸において、ミクログリアと呼ばれる脳内の老廃物を除去する細胞の活性化と、アミロイドベータ及び脳内炎症の抑制効果が確認されたのです。

具体的には、イソα酸を与えた群とそうでない群を比べたとき、脳内における炎症反応が緩和されたと共に、ミクログリアによる老廃物質除去作用が活性化されました。そして、これにあわせ神経細胞のシナプス量も増え認知機能も改善されていました。

このことから苦み成分イソα酸には、ミクログリアの活性によるアルツハイマー型認知症進行の、抑制効果があることが示されたと言えるのです。

▼外部リンク
ホップ由来のビール苦味成分であるイソα酸のアルツハイマー病予防に関する作用機序を解明


このページの
上へ戻る