東日本大震災における住宅被害と認知症進行間に関連性判明

2016年11月30日

住宅の損害率が認知症の進行率に影響することが明らかに

平成28年11月21日、東日本大震災において被害を受けた高齢者のうち、自宅の損害率が大きいほど3年後の認知症進行率が大きかったことが、日米の共同研究チームの調査により明らかとなりました。

なお、当該研究に当たったのは千葉大学等で構成された日米の共同研究チームとなっています。

認知症の進行率は災害における住宅の損害率に影響される

現在、認知症においてはその患者数が増えています。また、その進行要因の1つに環境の変化があげられるのですが、これに関する大規模調査は行われていませんでした。

そうした中、去る平成23年3月に東日本大震災が起きこれにより多くの被害が発生してしまいました。

そして、その3年前に岩沼市内に在住する65才以上の高齢者を対象に認知症に関する調査を、日本老年学的評価研究プロジェクトチームが行っていました。そこで今回当該共同研究チームは、この調査結果を生かし追跡調査を行うこととしたのです。

それによると、まず全体的には2010年と2013年を比べ7.4%認知症を発症した者が増加していました。その中でも、自宅が全壊してしまった事例の方が被害を全く受けなかった事例と比べ、約2倍認知症を発症した人が多いことが明らかとなりました。

加えて、この認知症の発症率は自宅の被害の大きさが高くなるほど大きくなっていたのです。

親しい人の死と認知症の発症率に因果関係が見られず

さらに岩沼市では、この大震災で多くの命が失われてしまいましたが、この調査によると親類や友人といった親しい人の死と、認知症の発症率では関係性は見られませんでした。

これについて調査当初では、関連性が想定されており今回のような結果となった理由は明らかとなりませんでした。

▼外部リンク
千葉大学

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