【ボケたま記者インタビュー③】MCI診断から2年半の軌跡
:誰にでもできる、前向きな一歩を踏み出して
MCI(軽度認知障害)の症状が現れてから、認知力アップデイケアや環境調整を続け、認知機能を回復させた山本さん。「認知症がとまった!?ボケてたまるか 実体験ルポ」の著者でもある山本さんに、今の思いを伺います。
MCI(軽度認知障害)の疑いがあるとの診断を受け、「絶対に認知症には進行させたくない」という強い思いから「認知力アップデイケア」や生活環境の調整を続けた山本朋史さん。その結果、見事認知機能に回復が見られています。
山本さんの最新刊である「認知症がとまった!?ボケてたまるか 実体験ルポ」には、自身が認知機能改善のために取り入れた工夫やMCI発見のきっかけ、改善の経緯などがまとめられています。今回は、そんな山本さんにインタビューし、近況や思いなどをお聞きしました。
環境調整とトレーニングは継続がカギ
―――食生活の見直しや筋トレなどを取り入れることで認知機能が回復されたとのことですが、今でも継続していらっしゃるのですか。
はい、できるだけそう心がけています。
例えば、認知機能には青魚が良いというので、お寿司屋さんに行ってもまずは青魚。アジとか、コハダとか、そういうものを中心に食べます。肉よりは魚、ご飯よりも玄米とか、食生活には注意しています。お酒を飲み過ぎないようにしていますし、自宅にもできるだけ早く帰るようにしています。朝食も必ず自分で作るようにしています。
こういったこともMCIの診断を受けたことによるものなので、その点はすごくよかったなと思っていますね
―――今後も続けていく予定ですか。
そうですね。MCIは4年で半数の人が認知症に進行してしまうというデータがあります。私は認知症の予防やMCIの早期治療を始めて2年半なんですが、じゃああと1年半続けて発症しなかったらずっと発症しないのかと言ったら、そんなことは無いわけで、歳をとり続ける限り可能性はあるわけです。
何もしなければまた同じように認知機能が低下してしまうと思うので、これからもトレーニングは続けていきたいと思います。
特に、65歳になって仕事を辞めたあとなどは認知機能が低下するリスクが高まると思っていますから、デイケアの中の友だちの輪をもっと広げたり、それだけじゃなくて色んなサークルに参加して友だちの輪を広げたり、そういうことはしていきたいなと思っています。
トレーニングの一環として描かれている山本さんの作品
前向きに行動すればいろいろなことができるようになる
―――山本さんは前向きに治療に取り組まれてこられたわけですが、なかなか前向きに行動できない方も多いですよね。
もちろんそういう現実を認めたくない方もいらっしゃると思うんですよ。そういう方々に、どうすればよいのか私もはっきりとした回答は持っていません。ただ、何らかの行動を起こせばいろいろなことがどんどんできるようになっていくということが、実際自分でやってみてわかったことなんです。
変な言い方ですが、MCIと診断されて良かったとさえ思っています。あの時診断されていなかったら、今頃どうなっていたんだろうって。今は生活習慣を改善し、考え方もすごく前向きになりましたから。
―――具体的なトレーニングのアドバイスなどはありますか。
私もよく「どのトレーニングが一番良いですか?」って聞かれるんですけど、それは各自各様だと思うんですね。その人に合ったトレーニングを専門の先生と相談しながら続けて行く、継続していくということが大切なんだろうと思います。
芸術療法にも取り組む山本さんは、タブレットでも絵を描いているそう
誰にでもできる、ぜひ一歩踏み出してほしい
――――最後に、認知症やMCIで悩む方にメッセージをお願いします。
私が取り組んできたトレーニングや生活環境の調整は、私だからできたのではなく、誰にでもできること。私も最初はできないことばかりだったのですが、だんだんとできるようになっていったのです。そして、3か月もたてば、考え方も前向きになってきます。
やろうと思う意志さえあれば、誰にでもできる。その第一歩を踏み出して欲しいなと思います。
山本さんの作品
==編集後記==
MCIと診断された後も「認知症との徹底抗戦」の道を選び、成果を実感されている山本さん。診断を受け入れて前向きに取り組みさえすれば効果が出ること、そしてそれは「誰にでもできること」という山本さんのお話は、同じ悩みを抱える方々にとって、大きな希望となったのではないでしょうか。
今後も挑戦し続ける山本さんの姿は、様々なメディアに紹介されるはず。是非チェックしてください。
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