大塚製薬が開発中の認知症治療薬にて安全性と忍容性示される

2016年10月26日

開発中の認知症治療薬フェーズ3試験のうち1本の結果が発表される

大塚製薬株式会社は、アルツハイマー型認知症治療薬「idalopirdine」の臨床試験である、3本のフェーズのうち1本について発表した。

なお今回のidalopirdineは、デンマークのH.ルンドベックA/Sと大塚製薬が共同で開発に当たっているもの。

先行研究における有益性を踏まえて

現在認知症を抱える者は世界的にも急増しており、その根本的治療法が模索されている。だが実際はいまだこれに至っておらず、現行の治療法としては進行スピードを緩慢にさせるに留まっている。

また、特にアルツハイマーにおいては進行を遅らせる治療薬の開発が望まれているのだ。

こうした中今回共同開発されているidalopirdineは、選択的セロトニン5-HT6受容体拮抗剤であり、これは複数の神経伝達系の調整特に海馬や皮質といった認知機能領域に関わる、セロトニン5-HT6受容体に作用する。

また本薬はモデル動物における実験にて、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬であるドネペジルの効果増強による、認知機能の改善が見られた。そして多数の先行試験においてもアルツハイマー病に代表される疾患にて、有益となる可能性が見られた。

こうしたことから、平成21年11月からルンドベック社との共同にて24週間に渡り、軽度から中程度のアルツハイマー型認知症を治療中である人々を対象として、偽薬投与群との比較検証が行われたのである。

十分な有効性は認められずとも副作用に関する安全性は認められる

今回結果が発表されたのは3本の試験のうち、最初の試験における主要な評価項目の達成度だ。

それによると、idalopirdine併用群とプラセボ併用群間で改善効果の差は見られず、主要な評価項目である認知機能評価においても有効性は認められなかった。だが一方で、副作用に対する許容度の指標である忍容性、及び安全性は本試験において示されたのである。

よって今回は本薬の有益性は見られなかったものの、残りの2本についての結果が平成29年第1四半期に報告されること、また本試験についても詳細な分析結果がこれから発表されることを踏まえれば、実用可能性はまだ残されていると言えるのだ。

▼外部リンク
アルツハイマー型認知症治療薬として共同開発中の「idalopirdine(Lu AE58054)」のフェーズ3試験結果について


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