認知症患者に優しいスローショッピングを導入~英スーパー
買い物を楽しんでもらう工夫とは
イギリスの小売チェーンJ Sainsbury plc社は同社が展開するスーパーマーケットチェーンSainsbury’sで、高齢者や障がい者、認知症の人を対象にした「ゆっくり買い物を楽しんでもらう」スローショッピングというコンセプトを、イギリス国内のスーパーとして初めて試験導入した、と発表した。
現在、イギリス中部の都市ニューカッスル・アポン・タインにあるゴスフォース店で行われている。
スローショッピングは毎週火曜日の午後1時から3時まで行われる。希望者に対し、店内を案内するスタッフが入り口から付き添う。また各通路の両端にはイスが置かれる。そして、2カ所にある問い合わせ所ではフルーツやビスケットの試食ができる。
このアイデアは、Slow Shoppingという団体を運営し、「スローショッピング」のコンセプトを広げる活動を行っているキャサリーン・ベーノさんが同店へ提案したもの。
べーノさんは、認知症の母親が症状の悪化につれてスーパーでの買い物が難しくなった、という体験を持つ。母親はショッピングが大好きだったため、スーパーの買い物をやめさせたくなかった、とのこと。
調査によれば、イギリス全体での認知症患者85万人のうち、1割の人が買い物好きとされるが、そのうち4分の1の人は買い物をあきらめてしまっている。
店舗従業員と企業が一体となり支援
ゴスフォース店の副店長スコット・マクマホンさんも、ガンを患った父親の買い物に付き添った体験を持つ。ベーノさんから提案があったときに何とかしたいと考え、長時間の従業員トレーニングを実施することにした。
店舗の従業員は「ものごとをより良くしたい」と考えており、トレーニングの結果、高齢者等が使いやすい位置にイスを置いたりできるようになった。
J Sainsbury plc社のホームページによれば、同社は1869年にロンドンで創立。買い物客のより良い生活をお手伝いする、をモットーにスーパーやコンビニ事業を展開している。
同社はこれまで、障がい者の買い物客を支援する教育を延べ5万時間行った。
また、アルツハイマー協会が推進する「認知症者にやさしく」キャンペーンを支援している。
▼外部リンク
発表資料(英語)
Slow Shoppingホームページ(英語)
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