アルツハイマー病を伴うiNPHでのオペの有用性と診療連携

2016年9月12日

アルツハイマー病併存の特発性正常圧水頭症患者における手術等について合意

第57回日本神経学会学術大会及び第36回日本脳神経外科コングレス総会にて、中継によるセミナーを共催しiNPHにおける手術の有効性と、異なる診療科間での連係の重要性について合意を得たと、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社が発表した。

なおiNPHは正常圧水頭症の略で、認知症を発症させる疾患の1つである。

脳神経外科及び神経内科間での合意形成を目指して

認知症自体その原因は未だ研究中ではあるが、そうした中でも多様なものがその原因として認められており、その1つとして特発性正常圧水頭症がある。これは頭蓋内において髄液が過剰に蓄積することで脳が圧迫され、それにより認知症や歩行障害等が現れる疾患だ。

またこの疾患の有病率は高齢者のうち1.1%程であり、とりわけ高齢者にて多く見られるものであることから、必然的に他の疾患を併せ持っている場合が多い。

こうした現状から、特発性正常圧水頭症と認知症とりわけアルツハイマー病との併存ケースでは、脳神経外科及び神経内科が平行してその患者の治療にあたるのだ。だがそれにも関わらず両診療科間では、これに対するコンセンサスは存在しなかったのである。

加えて、アルツハイマー病を併せ持つ特発性正常圧水頭症事例に対しての手術の実施について、明確な指針が存在しなかった。

以上のことを踏まえ、今回行われた共催セミナーでは脳神経外科及び神経内科の、学術大会や総会を中継することでこれらにおけるコンセンサスの形成を図ったのである。

手術の有効性と両診療間における連携の重要性について

まず、手術の有効性についてだ。これについては従来、適用の可否も含め先に触れたように明確な指針が存在しなかった。だが今回のセミナーでは、アルツハイマー病の進行が中程度であれば、髄液シャント術の適用による効果が期待できるとされたのである。

次に脳神経外科及び神経内科による連携については、4点について共通見解が得られた。
それは、先にあげた手術効果の期待できるケースにてオペを適用することまた、この基準に基づいて手術適用外となった患者情報をその理由含め神経内科医と共有そして、患者の家族に対する術後に関するインフォームドコンセント及び、症状の評価と慢性疾患の診療継続を目指すというものである。

これらにより、より精度の高い診療とスムーズな連携の実現を目指していく。
(画像はプレスリリースより)

▼外部リンク
手術で改善する認知症「特発性正常圧水頭症(iNPH)」アルツハイマー病を併存するiNPHの手術の有用性と診療連携について~神経内科/脳神経外科の学術大会中継共催セミナーによるコンセンサス~

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