AAIC2016でアルツハイマー等に関する研究結果を報告

2016年7月29日

AAIC2016にて認知症及びアルツハイマー病に関する研究結果が報告される

平成28年7月24日AAIC2016にて、アルツハイマー病及び認知症に関する数多くの研究結果が発表されたと報じられた。

なお、AAIC2016は国際アルツハイマー学会国際会議の略である。

アルツハイマーリスク等に関する研究結果

今回のAAIC2016では、アルツハイマーの原因及びその予防また薬物治療に関する研究結果等について発表された。これらはいずれもそれらの究明やそれによる治療手段の開発等に繋(つな)がるものである。また、全てアメリカ等で行われた研究結果ではあるが、高齢化社会党により認知症を抱える高齢者が増加している日本にとっても、他人事とはいえない。以下、順次見ていく。

まずアメリカでの人数だが、およそ2800万人ものベビーブーム期の人々が今世紀の半ばまでに、アルツハイマー病に罹(かか)るというアルツハイマー病協会所属ルイングループによる、研究結果があげられる。これによると、現状なされている治療及び予防が維持されれば、彼らの治療費として2040年に想定されるアメリカメディケア診療報酬の約25%が、これに充てられることとなるという。

これは日本でいうところのいわゆる団塊の世代に当てはめられる。

その一方で、同グループによる別途での研究では新たな治療法が見いだされ、それにより発症を最大5年延ばすことができれば、発症から数年の期間においておおよそ2200億ドル削減可能ともしているのだ。

次にアルツハイマー協会による、女性は男性に比べ認知症やアルツハイマー病のリスクが高いという研究結果である。現に同調査によるとアメリカ人高齢者におけるアルツハイマー発症者のうち、およそ3分の2が女性だという。

またAAICによる2つの類似研究では、アルツハイマー病及び認知機能低下の及ぼす影響及び全身麻酔を伴う術後において、男性と比べ女性の方が2倍も速く認知機能や脳容量の減少といった側面において、進行することが明らかとされている。

そして、同じくAAICによった60歳以上の高齢者を対象とした初の認知症リスク研究では、1型糖尿病患者はこれらの発症リスクがおよそ6割から9割に高まることが判明した。

これに関しては先にあげた性別による、当疾病の発症確率に関する研究とともに、その生物的背景はこれからの研究対象となる。

それから、早期教育の有無と複雑な作業を要する職への就業及びアルツハイマー発症間での、相関関係についたスウェーデンによる研究である。当該研究によると、受けた幼少期の教育レベルが高いほどまたついた職種が複雑なものであるほど、認知症リスクが低くなるという。

だが、たとえ複雑な職種に就いたとしても幼少期教育のレベルの影響を、打ち消すことは難しいとも別研究にて指摘している。

ここまで見てきた研究成果のいずれも、社会的側面や性別また糖尿病といった他疾患等といった多視点にて、認知症患者の増加予測や発症リスクについて見たものだ。それらは今回の研究結果の背景にある詳細な原因等が明らかとされることで、現在国際的に課題とされている認知症及びアルツハイマー病の予防と根治に繋(つな)げ得るものといえる。

検査及び改善に関する見解

現在行われているアルツハイマー病や認知症における、鑑別診断のための検査としては記憶テストや専用のチェックリストの使用が、主要なものとして行われている。

だが今回発表された研究によると、唾液やPETによる脳スキャンでもアルツハイマー病進行の検知及び、治療効果の検証等に対する後追いが可能となることが示された。特に唾液によるそれは採取の簡便さからより当該検査を容易にすることが期待できるのだ。

最後に紹介するのは、中程度から強度の有酸素運動が認知症症状の改善に有効であることを示す研究である。これは3つ存在するが、そのいずれも中から強程度のエアロビクス体操が有酸素運動として行われ、治験者において精神的症状や注意力や思考力また記憶力が改善されたのだ。

これは、有効薬の投与によらない治療の実現を示唆する。

加えて以上を総括すれば、今回AAIC2016にて発表された研究の全てにおいてアルツハイマー病を含む、認知症の予防及び治療分野に対し新たな光をもたらす可能性を有しているといえるのだ。

▼外部リンク
alzheimer’s association

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