脳梗塞薬シロスタゾールのMCIへの有効性を検証。COMCID study開始
国循センターがまず治験を開始
国立循環器病研究センター(国循)の脳神経内科を中心とする研究グループは、多施設共同による「軽度認知障害患者に対するシロスタゾール療法の臨床効果並びに安全性に関する医師主導治験(COMCID study)」を全国規模でおこなうと発表した。
軽度認知障害200症例を対象としたもので、国循センターでは治験調整事務局を設置し、2015年5月25日より他施設に先んじて治験を開始した。
国内11施設が治験に参加
参加施設は同センターのほか、京都医療センター、東京都健康長寿医療センター、大阪市立総合医療センター、三重大学医学部附属病院、神戸大学医学部附属病院など11施設。今後さらに参加施設は増える予定。
日本での認知症とその予備軍である軽度認知障害(MCI)の人は、現時点で800万人を超えるといわれている。認知症を根絶する有効な治療方法はいまだに見つかっておらず、予防効果などの対症療法がいくつか試みられているというのが現状だ。
脳梗塞再発予防薬「シロスタゾール」
今回の治験では、脳梗塞再発予防薬として知られている抗血小板薬「シロスタゾール」の有効性を検証するものとなる。これは2014年に発表された臨床研究(Ihara M, et al. PLOS ONE 2014)に基づいており、同研究では、シロスタゾールが認知症の進行予防においても有効であることが明らかにされた。
認知症では脳内に老廃物アミロイドベータが蓄積されることが知られているが、シロスタゾールは、アミロイドベータの蓄積を脳外に流し去る作用を有することが、臨床試験(Maki T, et al. Ann Clin Trans Neurol 2014)において明らかとなっている。
研究グループでは、MCIから認知症へと進行していく際に、シロスタゾールが進行を予防する有効な手段となりうるかどうかを同治験で検証していく考えだ。
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