インフルエンザの予防接種を受けましょう
高齢者を対象にしたインフルエンザの予防接種が10月1日より開始された市区町村が多いかと思います。
今回は、インフルエンザワクチンの効果や、予防接種を受けるにあたっての注意点についてご説明します。
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高齢者がインフルエンザにかかるとどうなるの?
インフルエンザは、12月から3月にかけて流行します。インフルエンザウイルスに感染してから1~3日ぐらいの潜伏期間¹⁾を経て、発病します。症状は、発熱、寒気、頭痛、だるさ、筋肉痛・関節痛などが突然現われます。そして、咳、鼻水、鼻づまりなどの呼吸器症状がみられます。約1週間の経過で軽快すると言われています。
特に、高齢者の方は、肺炎や脳症などの合併症を起こしやすく、入院や死亡に至る方もいらっしゃいます。そして、症状が重症化する²⁾と言われています。例えば、体力の消耗が著しい、食事が摂れない、水分を摂取せずに過ごして脱水になる、などが起こりやすいです。
予防接種はどのくらい効果があるの?
予防接種を受けてから2週間ぐらいでインフルエンザに対する抵抗力がつき、約5か月程度効果が持続する³⁾と言われています。
65歳以上の方の場合は、1回の接種で効果があるため、今の時点から接種しておくことが大切です。
予防接種を受ければ、インフルエンザにはかからないの?
予防接種を受けると同時に、日頃の生活でも感染予防に心がけましょう。例えば、うがい・手洗いを行う、家での適度な湿度を保つ、睡眠を十分に取る、規則正しい・バランスのとれた食事を摂る、適度な水分を摂る、人の多い場所は避ける、などが大切です。
また、咳をして飛び散ったインフルエンザウイルスにより感染するため、「咳エチケット」を心がけましょう。
特に認知症の方は、ご自分で症状を訴えることが難しかったり、予防することが難しい場合があります。デイサービスやデイケアなど多くの方が集まる場所で、インフルエンザにかからないためにも、うつさないためにも、予防することが第一です。
対象者や費用は?
予防接種法により、以下の方はインフルエンザ予防接種の対象者²⁾となっています。
①65歳以上の方
②60~64歳で、心臓、じん臓若しくは呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活を極度に制限される方
③60~64歳で、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方
費用は、各市区町村によって助成される金額が異なりますので、お住まいの市区町村のホームページや、対象の方に送付された案内をご参照下さい。
また、費用の免除が受けられる方もいらっしゃいます。お住まいの市区町村にお問い合わせ下さい。
接種する上での注意点は?
お住まいの市区町村より異なりますが、対象の方に、案内・予診票・指定された医療機関一覧表が送付される場合があります。送付されない場合は、お住まいの市区町村のホームページで確認をしましょう。予診票は、接種場所の医療機関で受け取る場合もあります。
接種場所は、市区町村が委託する医療機関で受けられます。予約が必要な医療機関もありますので、事前に電話で確認し、申し込みましょう。その際、必要な持ち物や自己負担金を確認しておくと安心です。
また、予防接種が受けられない方、相談が必要な方もいらっしゃいますので、医師と相談しましょう。
予防接種を受けた30分後ぐらいから数日は、副反応⁴⁾が起こる場合があります。よくみられる副反応は、接種した場所の赤み(発赤)、はれ(腫脹)、痛み(疼痛)などです。接種を受けた方の10~20%に起こりますが、通常2~3日でなくなります。
全身の反応としては、発熱、頭痛、寒気、だるさなどがみられます。接種を受けた方の5~10%に起こり、通常2~3日でなくなります。
まれに、ショック、アナフィラキシー様症状<発疹、じんましん、赤み(発赤)、掻痒感(かゆみ)、呼吸困難など>がみられることもあります。ショック、アナフィラキシー様症状は、接種後すぐに起こることが多いため、接種後30分間は接種した医療機関の待合室などの椅子に座り、安静に過ごしましょう。また、帰宅後に異常が認められた場合は、すぐに医師に連絡して下さい。
接種した日は、激しい運動や大量の飲酒は控えましょう。入浴は構いませんが、接種した部分を強くこすらないようにしましょう。
まとめ
インフルエンザの予防接種は、毎年接種する必要があります。体調を整えて、なるべく早めに接種を行い、インフルエンザにかからないように日頃から予防に努めましょう。
参考文献:1)国立感染症研究所.“インフルエンザとは”(2019年10月2日アクセス)
2)厚生労働省.“高齢者のインフルエンザは重症化することがあります”(2019年10月2日アクセス)
3)日本医師会.“インフルエンザと予防接種(啓発資料)”(2019年10月2日アクセス)
4)厚生労働省.“インフルエンザQ&A”(2019年10月2日アクセス)
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