基礎生物学研究所、長期記憶形成やALS・認知症の新たな知見
ALS・認知症の原因に関与
自然科学研究機構 基礎生物学研究所/生命創成探究センターの椎名伸之准教授は、長期記憶に必須であることやALS・認知症の原因に関与することが知られるタンパク質を含む8種類のタンパク質の新たな性質を明らかにしました。
具体的には、RNA顆粒の液相構造を作るタンパク質と固相の種を作るタンパク質の二群に分けられることを発見し、さらに、液相構造を作るタンパク質を細胞内で増加させることによって、固相の種を液相状態に近づけられることを見出しました。特に長期記憶に必須のタンパク質RNG105は、強い液相の性質、すなわち、固相の種を液相に近づける性質を持つことが分かりました。
認知症の仕組みを理解する上での基盤となる発見
生物は膜で仕切られる(区画化される)ことで出来ています。しかし近年、膜によらない全く新しいタイプの区画化が知られるようになりました。それは、液−液相分離という仕組みで、水中に油が溶けずに油滴ができるのと同じように、異なる組成の水溶液同士が分離して液滴を形成する現象です。
液−液相分離で作られる細胞内構造の代表例は、ニューロンに多く存在するRNA顆粒です。RNA顆粒は通常は長期記憶の形成などに役立っていますが、液相が凝集化(固相化)することで、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や認知症を引き起こすことが分かってきました。液相のRNA顆粒の内部には固相の「種」が既に存在することが最近明らかにされましたが、液相構造と固相の種がどのように形成され、平衡状態を保っているのか、それらの仕組みは不明でした。
今回明らかにしたタンパク質群の特性は、長期記憶形成やALS・認知症の仕組みを理解する上での基盤となる知見です。本研究成果は米国の科学専門誌Journal of Biological Chemistry(先行電子版)に2019年1月3日にオンライン掲載されました。
(文頭画像はイメージ、文中画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
基礎生物学研究所など、細胞内構造の膜によらない区画化を担うタンパク質群の特性を解明
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