『旅のことば 認知症とともによりよく生きるためのヒント』、40の「ことば」
パターン・ランゲージの手法
『旅のことば 認知症とともによりよく生きるためのヒント』 は、認知症であってもいきいきと暮らしている人たちの、「前向きで実践的な工夫」を集めた冊子である。
慶應義塾大学総合政策学部の井庭崇准教授が率いる研究室と、企業・自治体・NPOなどのネットワーク「認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ」が制作したもので、建築学で使われる「パターン・ランゲージ」の手法で記述されているのが一つの特長となる。
40の「ことば」
「パターン・ランゲージ」とは、抽象的で表現が難しいイメージを、具体的で簡単な言葉に置き換えて類型化すること。医療や福祉などの専門分野でしか理解できない言葉ではなく、心の中にすっと入ってくる誰もがわかる言葉が、『旅のことば』にはならんでいる。
たとえば、「本人がひとりで行けて、家族も知っている行きつけの場所をつくる」という工夫には、「なじみの居場所」という名前。「自分に関係する写真を持ち歩き、それを見せながら自己紹介をする」という工夫には、「自己紹介グッズ」。
ほかにも、「できることリスト」や「じぶんの日課」「よい先輩との出会い」など。それぞれの工夫に名前をつけ、日常のなかで実際に使い、まわりの人と共有することができるような40の「ことば」が、ひとつずつ解説されまとめられている。
認知症を“ジブンゴト”として
この冊子は、認知症であることを受け入れつつ、よりよい人生を生きるために、本人と家族、周囲の人たちが、具体的にどのように行動したらよいかをしめすものだ。
「認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ」では、認知症を“ヤッカイゴト”ではなく、“ジブンゴト”として捉え、「誰かが解決してくれるのを待つのではなく、認知症の人も含め、誰もが暮らしやすい社会を作るための知恵をみんなが出し合えるようになる」ことを、広く呼びかけていく。
慶應義塾大学では、2014年11月21日(金)・22日(土)に、東京ミッドタウンホールにおいて「SFC OPEN RESEARCH FORUM 2014」を企画しており、井庭研究室もワークショップ・ブースを出展する。
なお『旅のことば』には、英語版もあるが、どちらも非売品とのことだ。
(画像は『旅のことば 認知症とともによりよく生きるためのヒント』のサイトより)
▼外部リンク
『旅のことば 認知症とともによりよく生きるためのヒント』
認知症フレンドリージャパン・イニシアチブ ホームページ
慶應義塾大学「SFC OPEN RESEARCH FORUM 2014」
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