認知症は予防できる?

現時点では残念ながら、「現在こうすれば認知症にならない」という方法はありません。しかし最近の研究から「どうすれば認知症になりにくいか」ということが少しずつわかってきました。

認知症を予防する対策は大きく分けて2種類で、日々認知症になりにくい生活習慣を行うものと、認知症で落ちる3つの能力を簡単なトレーニングで鍛えるものとがあります。これらを長く続けていくことで、認知症を発症せずにすごせたり、認知症になる時期を遅らせたりできる可能性が高まります。


この記事の目次
  1. 認知症になりにくい生活習慣
  2. 認知症で初期に落ちる3つの能力の鍛え方
  3. 最も重要なのは

認知症になりにくい生活習慣

認知症の原因の約6割を占めるアルツハイマー型認知症の発症に、生活を取り巻く環境の影響が大きく関わっていると分かってきました。

脳の状態を良好に保つためには食習慣や運動習慣を変えることが、認知機能を重点的に使うためには対人接触を行うことや知的行動習慣を意識した日々をすごすことが重要だと言われています。下の表でそれぞれの対策の具体例をまとめました。

1.食習慣 野菜・果物(ビタミンC、E、βカロチン)をよく食べる
魚(DHA、EPA)をよく食べる
赤ワイン(ポリフェノール)を飲む
2.運動習慣 週3日以上の有酸素運動をする
3.対人接触 人とよくお付き合いをしている
4.知的行動習慣 文章を書く・読む、ゲームをする、博物館に行く など
5.睡眠習慣 30分未満の昼寝 起床後2時間以内に太陽の光を浴びる


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認知症で初期に落ちる3つの能力の鍛え方

認知症になる前段階で落ちる脳機能を集中的に鍛えることは、発症を遅らせるための効果的な方法であるということが分かってきました。

認知症という病気に至る前の段階では、通常の老化とは異なる認知機能の低下がみられます。この時期に最初に低下する認知機能が、「エピソード記憶、注意分割機能、計画力」です。

これらを意識して重点的に使い、その機能を鍛えることで認知機能の低下を予防します。次の表に、それぞれの機能の簡単な鍛え方をまとめました。

機能 内容 鍛え方
エピソード記憶 体験したことを記憶として思い出す 2日遅れ、3日遅れの日記をつける
レシートを見ないで、思い出して家計簿をつける
注意分割機能 複数の事を同時に行う時、適切に注意を配る機能 料理を作るときに、一度に何品か同時進行で作る
人と話をするときに、相手の表情や気持ちに注意を向けながら話す
仕事や計算をテキパキと行う
計画力 新しいことをするとき、段取りを考えて実行する能力 効率の良い買い物の計画を立てる
旅行の計画を立てる
頭を使うゲーム(囲碁・将棋・マージャン等)をする
やり慣れたことでなく新しいことをする


最も重要なのは

認知症の予防について書いてきましたが、最も重要なのは「早期発見」と「早期からの予防対策」です。

認知症ねっとでは、認知症予防の専門クリニック「ひろかわクリニック」院長の広川先生監修のもと、WEB上で5分程度で認知機能の状態をチェクできるチェックテスト(無料)を提供しています。こういったチェックテストなどを利用し、定期的に認知機能のチェックを行うことで、自分の認知機能の低下に早い段階で気づくことができます

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認知症は本人のみならず、ご家族にも身体的、精神的、経済的な負担が大きく、更に医療、社会、経済的なサポートが必要となります。軽度認知障害(MCI)の段階での早期発見を行うことにより、認知症への進行を食い止めることができます。

また早期の段階で認知症を発見することで、ご本人とご家族がご本人の意思を尊重する形で将来のことをゆっくりと考える時間的余裕を作り本人を支援する態勢を整え、備えることができます。


参考文献:1)今井幸充 認知症を進ませない生活と介護 法研,平成27年,p70~128.


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