歩く速度で分かるMCIチェック

MCIの診断に注目されている脳内ネットワーク

脳内ネットワークとは

人間の脳には視覚や聴覚など様々な感覚を受け取る部署があります。人間は一つの動作を完成するとき、脳内では離れた複数の部署で同じ動作が行われています。一つの動作を完成させるための各部署の繋がりを脳内ネットワークと言います。脳内ネットワークの繋がりの強さがMCI(軽度認知障害)に関係しています。MCIが早期発見できれば、認知症になる前に対策をとることができ、認知症を予防することができます。

MCIの脳内ネットワーク

MCIはCTやMRIなどの画像診断を行っても、アルツハイマー型認知症にみられるような脳の委縮はほとんどみられません。しかし、脳内ネットワークの繋がりが弱いという特徴があります。脳内ネットワークの繋がりは、電気信号で情報を伝達する神経細胞同士が行っています。神経細胞は周囲の血管から酸素や栄養をもらって活動しているため、血管にわずかでも微小出血があると周囲の神経細胞に影響を与え、脳内ネットワークが損傷します。脳内ネットワークの損傷が多くなるにつれ、MCIから認知症へと進行していきます。

脳のイメージ図

歩行でわかるMCIチェック

歩行の特徴

脳内ネットワークを簡単にチェックできる方法は歩行です。通常、歩行はたくさんの脳内ネットワークが必要とされ、状況を瞬時に判断しながら行われています。MCIは脳内ネットワークの繋がりが弱いため、歩行にも影響が現れます。足腰に問題がなく、歩行に次のような特徴がみられる場合はMCIかもしれません。

・歩行速度が遅い
・歩幅が狭い
・ふらつきやすい

判断基準

筋力の低下によって歩行速度が遅くなることもあるので、歩行速度が遅ければ必ずしもMCIという訳ではありません。足腰に問題がなく、秒速80cm以下であればMCIの可能性があると判断されます。秒速1m以上であればMCIではありません。目安は横断歩道を青信号のうちに、しっかりとした足取りで渡りきることができるかどうかです。

脳内ネットワークを活性化させるために

脳内ネットワークを活性化できればMCIは改善することができます。MCIと判断された場合は、脳内ネットワークを活性化させる対策をとって認知症への進行を防ぎましょう。

息がはずむ程度のウォーキング

とても簡単な方法で週に3回、1回あたり1時間程のウォーキングをします。ポイントは息がはずむ程度に行うことです。これを行うことで、新しい血管を作り出す物質や脳内で新しい神経細胞を作り出す物質が促されるので、脳内ネットワークが活性化されます。

また、軽い筋肉トレーニングも効果があります。運動を行う際は、何か考えながら行うと脳内ネットワークが活性化されます。運動によって体にかかる負荷を意識して、心拍数の目安は120程、ウォーキングする際は歩幅を5cm広げて大股に歩くようにします。持病のある方は医師に相談しましょう。

ウォーキング+αの組み合わせ

ウォーキングと併せて、生活習慣の改善をしましょう。ウォーキングと組み合わせて行うとMCIに効果的です。

食事

脂肪や塩分を控え、野菜や果物、魚を積極的に摂るようにします。人間の体は細胞から活性酸素が発生していて、これは老化の原因の一つです。活性酸素を抑える抗酸化作用のある食べ物を摂るように心がけましょう。

認知トレーニング

神経衰弱のような記憶力のゲームを行います。また、囲碁や将棋も認知トレーニングには効果があります。人との駆け引きが存在する対人ゲームでは、あの手この手を考えてゲームを進めなければいけません。この考える力が脳内ネットワークを活性化させます。

健康管理

生活習慣病は認知症と大きく関わっています。健康診断や健康相談を活用して生活習慣病の対策を行いましょう。


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