東北大、運転技能向上トレーニング・アプリを開発し効果を検証
6週間のトレーニングで高齢者の運転技能・認知力が向上
東北大学加齢医学研究所の野内類准教授と川島隆太教授を中心とする研究グループは、自宅のTVで実施できる「運転技能向上トレーニング・アプリ」を開発し、高齢者を対象に無作為比較対照試験を用いて効果検証を行いました。
試験の結果、1日20分の運転技能向上トレーニング・アプリを6週間実施したグループは、同じ期間他のゲームアプリを実施したグループよりも、自動車運転技能と認知力(処理速度と抑制能力)とポジティブ気分(活力)が向上することが明らかになりました。
仙台市、塩竃市、栗原市で募集した、精神疾患、脳疾患、高血圧の既往歴のない健康な高齢者60人を、運転技能向上トレーニング・アプリを実施する「運転技能向上アプリ群」と、その他のゲームを実施する「対照アプリ群」に分けて行われました。
短期間での能力向上、今後の応用に期待
両群ともに6週間(週5回以上1日20分)、自宅のTVに接続したセットトップボックスを用いてゲームを行いました。ゲームは、状況を判断する数字ゲーム、注意力を持続させる運転ゲーム、道路上への人や車両の飛び出しを予測するゲームなどが用意されました。そして、トレーニング前後に自動車教習所のコース上での自動車運転技能検査や認知機能検査や感情状態などを聞く心理アンケートが実施し、ゲーム介入による変化を計測しました。
運転技能検査、認知機能検査、心理アンケートの変化量(介入後の得点から介入前の得点を引いて算出)を用いて、運転技能向上アプリ群と対照群のゲームアプリの効果を調べました。解析の結果、「運転技能向上トレーニング・アプリ」群の方が対照アプリ群よりも、自動車運転技能、認知力(符号、記号)と抑制能力(ストループ)、活力気分(活力)が向上することが明らかになりました(下図参照)。
今後の高齢者の運転技能の維持・向上ためのツールや、高齢者の交通事故などの減少を目指した取り組みとしての応用が期待されます。研究の成果は、2019年5月7日発行のオンライン雑誌『Frontiers in Aging Neuroscience』に掲載されました。
(文頭画像はイメージ、文中画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
東北大学、6週間の認知トレーニングで高齢者の自動車運転技能と認知力と活力が向上!(運転技能向上トレーニング・アプリの開発とその効果を検証)
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