認知機能低下を評価する有効な血液バイオマーカーを発見
認知症発症の前兆を捉える
国立大学法人筑波大学医学医療系の内田和彦准教授、株式会社MCBI(茨城県つくば市)の鈴木秀昭研究員らの研究グループは、アルツハイマー病等認知症の発症に関わるアミロイドβタンパク質(Aβ)の脳内からの排出に働く3つのタンパク質が、早期の認知機能低下を評価するバイオマーカーとして有効であることを見出しました。
アルツハイマー病の発症には、脳内に蓄積されたAβが関わっていることがわかっています。本研究では、 Aβクリアランスの低下に関与する3つのタンパク質を血液バイオマーカーとして用い、その臨床有用性を検討しました。その結果、これらのタンパク質の血中量が、軽度認知障害(MCI)における認知機能低下および脳イメージングの変化と一致することを明らかにしました。
2015年の世界の認知症患者数は4,680万人、このままいけば20年ごとに倍になり、2030年には7,470万人、2050年には1億3,150万人になるといわれています。アルツハイマー病は認知症の60〜80%を占めており、本研究成果の活用が期待されるところです。
本研究に用いた3つのタンパク質を対象とするMCIスクリーニング検査は、株式会社MCBI がすでに実用化しており、今回の研究で早期MCIの認知機能低下とそれに伴う脳血流低下や脳萎縮と関連することが明らかになったことで、認知症の予防につながる血液検査として期待されます。 なお、研究グループは今後、「より多くの症例を用いた臨床研究を行うとともに、運動などの予防介入による効果と血液バイオマーカーの関連性について研究を進める予定」としています。
研究成果は、2018年12月18日付「Alzheimer’s & Dementia: Diagnosis, Assessment & Disease Monitoring」において公開されました。
(画像はイメージです)
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