名古屋大学ら、加齢と認知症で加速する新たな神経細胞死を発見
2017年11月15日
脳内にゴミが溜まるメカニズムの一部を解明
名古屋市立大学大学院薬学研究科の築地仁美講師、服部光治教授、名古屋大学環境医学研究所の山中宏二教授は、理化学研究所や順天堂大学との共同研究により、加齢と認知症で加速する新たな神経細胞死を発見したと発表しました。
認知症をはじめとする神経変性疾患は、加齢に伴い脳機能が低下する病気であり、脳内で神経細胞がダメージを受けると、不要なタンパク質を処理できず脳内にゴミのように溜まってしまうことが知られています。
認知症の中で最も多いアルツハイマー病ではアミロイドβというタンパク質が、前頭側頭葉変性症ではTDP-43というタンパク質が異常に溜まることがわかっています。これらの異常が認知症の大きな原因となっていると考えられていますが、残念ながらそのメカニズムは分かっていません。
本研究グループは、前頭側頭葉変性症に溜まるTDP-43に着目、モデルマウスにより実験を行い、今まで知られていなかった神経細胞の異常を発見しました。記憶に重要な海馬という部位において、抑制性介在ニューロンという神経細胞の興奮を抑える細胞が加齢が進むに連れ死んでいく現象です。
認知症の治療や脳のアンチエイジングにつながる
今回発見された現象は、加齢や認知症(前頭側頭葉変性症)の初期症状である神経の過興奮を説明できる可能性があり、また、この現象を抑えることができれば、認知症の治療や脳のアンチエイジングにつながるものと期待されます。
前頭側頭葉変性症は、人格変化、反社会的行動を伴う行動障害、認知機能障害などを特徴とする神経変性疾患であり、認知症のなかでは、アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症に次いで羅漢者が多い疾患です。
(本文画像はプレスリリースより)
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