認知症で行方不明 過去最多の1万5000人超
4年連続で増加、対応が課題
6月、警察庁が発表した「平成28年における行方不明者の状況」によると、認知症が原因で行方がわからなくなったとして、2016年に届け出があった行方不明者は過去最多の1万5432人だとわかりました。計測が開始された平成24年(2012年)から4年連続で増加しており、対応が課題となっています。
行方不明者全体の原因・動機の中で、2番目に多い割合
平成28年の行方不明者の総数は、8万4850人。そのうち原因・動機が「疾病関係」の行方不明者は全体の25.8%を占める2万1852人と、最も多くなっています。その中で「認知症(またはその疑い)」によるものは、全体の18.2%を占める1万5432人。「その他」を除くと、「家庭関係」に次いで全体の2番目を占めていることがわかりました。
行方不明者全体での男女比は、64.4%が男性、35.6%が女性。年齢層別では、70歳代は全体の11.3%を占める9,589人、80歳以上は11.9%を占める10,118人と、70歳以上の行方不明者は平成24年以降年々増加。前年平成27年の調査から18.1%増加しています。
所在が確認できるまでの期間は、行方不明者全体で受理当日が最も多く34,603人。次いで2日〜1週間以内が27,177人。受理から1週間以内に所在が確認された割合は73.7%でした。年内に所在確認された割合は90%程度であることを考えると、早い段階での対応がいかに重要かがわかります。
行方不明になったら、すぐに通報することが大切
認知症患者が行方不明になった時、「家族内のことなので迷惑をかけたくない」「近所の迷惑になる」などの理由から、家族だけで捜索し、警察への通報が遅れるケースがあります。認知症患者は周囲を気にかけたり、注意をすることができなくなるため、自動車や電車などの事故に遭いやすいものです。また、夏であれば脱水症状、冬であれば、凍死のリスクが高まります。行方不明者が死亡して発見された割合は、平成28年では約4.4%。全国の警察では、増加する認知症患者の行方不明への対策を進めているところも多くありますが、まずは、行方不明になったらすぐに通報することを心がけることが大切だと言えるでしょう。
統計の詳細は外部リンクよりご参照下さい。
▼外部リンク
平成28年における行方不明者の状況(警察庁)
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