エーザイが嗅覚検査キットを販売、認知症の兆候発見も

2017年5月29日

より早い段階での医師の診察につながる見込み

認知症の初期症状のひとつに、嗅覚の衰えがあることが知られています。とくにアルツハイマー型認知症では、海馬が萎縮し記憶障害を起こすよりも前に、嗅神経の機能が低下することがわかっています。

医薬メーカーのエーザイが、嗅覚の検査を簡単・迅速に行えるキット「ポケット嗅覚識別テスト”UPSIT series”(アップシットシリーズ)」の販売を開始しました。このキットを使用すれば認知症の兆候に気づくことができ、より早い段階で医師の診察を受けられるようになる見込みです。

4種類のにおい成分、3分程度で嗅覚識別力を確認

ポケット嗅覚識別テストは、米ペンシルバニア大学が開発したテストをもとに、エーザイが日本向けに改良を行いました。台紙には、クールなにおい、甘いにおい、不快なにおいなどのタイプが異なるにおい成分4種類をマイクロカプセル化し塗布。その箇所を綿棒などで軽くこすると、におい成分が揮発し、該当するにおいの名称を4つの選択肢から選ぶことで、嗅覚識別力を3分程度で確認することが可能です。2種類のバージョンを発売しています。

嗅覚は日々の生活の安全に関わる重要な感覚でありながら、年齢や体調、記憶、心理的状態によってその力が変動するため、嗅覚識別力の変化は自覚症状が乏しいといわれています。同テストを使用し、においを嗅ぎ分ける力の変化を客観的に確認することは、認知症の早期診断につながるだけでなく、体調や心理的状況の変化に気づくきっかけになることでしょう。

なお、エーザイは同テストを自治体や保険薬局での健康相談や健康増進イベントなどで対面実施することを想定しており、一般への販売は行わない方針です。

▼外部リンク
エーザイ株式会社プレスリリース


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