(名古屋大学)前頭側頭葉変性症(FTLD)の発症メカニズムを解明
FUSの機能不全がFTLDを引き起こす
名古屋大学大学院医学系研究科の研究グループは、RNAタンパク質FUS(fused in sarcoma)の機能不全がタウタンパク質のアイソフォームのバランス異常を通して、前頭側頭葉変性症(FTLD:frontotemporal lobar degeneration)の症状を引き起こす、ことを解明しました。
モデルマウスはFTLDに似た機能障害を発症
FTLDは、前頭葉と側頭葉の萎縮や機能低下により、人格変化や行動障害、言語障害、意味記憶障害、認知機能障害、運動障害などを引き起こす認知症の一種です。若年性認知症では、2割近くを占めていると言われています。
人格変化や社会性の喪失、時には犯罪行為を起こすこともあり、家庭や職場で社会問題化する場合もあります。
有効な治療法がなく、患者周辺の負担も大きいことから、早期発見の診断法、予防方法、治療法の確立が求められています。
研究グループは、RNAタンパク質FUSが神経細胞の核内で高分子複合体を形成し、主要な結合分子が別のRNAタンパク質SFPQ(splicing factor, proline- and glutamine-rich)であることを発見しました。しかし、疾患変異体FUSは、高分子複合体を形成することが難しく、SFPQとの結合が阻害され低下していました。
FUSとSFPQは、選択的スプライシングを通して、アルツハイマー病患者などにみられるリン酸化タウタンパク質の異常蓄積による疾患(タウオパチー)において、タウタンパク質のアイソフォームの割合を制御していました。
FUSとSFPQの機能喪失モデルマウスの実験では、タウタンパク質のアイソフォームのバランスが崩れ、どちらのマウスにもFTLDに似た機能障害が発症することが分かりました。
FTLDの早期診断や根本治療を目指す
研究により、FUSとSFPQの機能喪失が、FTLDの病態に関与している可能性が示されました。
今後研究グループは、研究結果に基づき、実際のFTLD患者について検討を進め、FTLDをはじめタウオパチーの早期診断や根本治療を目指し、展開する予定です。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
名古屋大学のプレスリリース
- 【PR】治験参加者募集中!もの忘れなどのある高齢者でも、安心して使える睡眠治療薬の提供を目指して
- 11/28(木)「オンラインフレイル予防講座」防災編を開催(福岡市)
- 10/30(水)「オンラインフレイル予防講座」口腔編を開催(福岡市)
- 認知症予防医/広川慶裕医師の新刊「脳のスペックを最大化する食事」7/20発売
- 認知症予防医/広川慶裕医師の新刊「潜伏期間は20年。今なら間に合う 認知症は自分で防げる!」
- 広川慶裕医師の、認知症予防のことがよく分かる『認トレ®️ベーシック講座』開講!
- 知ると知らないじゃ大違い!民間介護保険って何?
- 酸化ストレスを減らすと認知症予防に!秘密はサプリメント
- ユッキー先生の認知症コラム第92回:あるべき姿の認知症ケア
- 認知症専門医による認知症疾患啓発イベントを開催
- ポイントは食生活にあった。認知機能維持に必要なのは・・・
- 認知症予防は40代から!摂ると差が出る栄養素とは。
- 山口先生のコラム「やさしい家族信託」第17回:Q&A 外出自粛で、認知機能の低下が心配。家族信託、遺言、後見、今できることが知りたい
- 前頭側頭型認知症(FTD)とは