歯周病の予防はアルツハイマー病の発症を防ぐか?!
歯周炎モデルマウスを作製
国立長寿医療研究センターの松下健二氏らの研究グループは、歯周病がアルツハイマー病に及ぼす影響を研究するため、アルツハイマー病(AD)モデルマウスを用いた実験をおこなった。
研究グループは、ADモデルマウスに「Porphyromonas gingivalis (P.g.)」菌を感染させた歯周炎モデルを作製し、P.g 投与群と非投与群での行動の変化や脳内の病態を比較。その結果、歯周病がアルツハイマー病の病態の悪化に関与している可能性が示唆された。
歯周病など生活習慣病がAD発症に関与
日本は超高齢社会を迎え、認知症の患者数は300万人超となっているが、その半数以上のアルツハイマー病において、根本的な治療法は未だ解明されていない。病因分子であるアミロイドベータの沈着は、認知機能障害発症以前に出現していることが明らかになっている。
近年では、アルツハイマー病の後天的危険因子として、糖尿病や脂質異常症、歯周病などの生活習慣病が指摘されるようになった。グループは、脳外の歯周病がどのようにAD発症に関与するのか、研究をおこなった。
ADの早期診断・予防・治療法開発に貢献を
実験は、歯周病を発症させたマウス12匹と、菌を投与していない対照マウス10匹についておこなわれ、認知機能検査の後、脳内アミロイドベータの沈着とその量を定量し、脳内の炎症性サイトカインの濃度を評価。
その結果、歯周病を発症させたマウスは、発症していないマウスに比べ、明らかに認知機能障害が悪化しており、脳内のアミロイドベータ沈着ならびにサイトカイン濃度も有意に増加していた。
このことは、歯周病の慢性的な感染がアルツハイマー病の悪化を誘導することを示すものであり、歯周病の予防・治療を積極的におこなうことで、アルツハイマー病の早期診断・予防・治療法の開発に貢献することが期待されている。
(画像はプレスリリースより)
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