やせすぎの中高年者は認知症発症のリスクが高い -イギリスの調査報告-
約200万人を20年間調査
ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院(London School of Hygiene and Tropical Medicine)のNawab Qizilbash教授らの研究グループは、2015年4月9日、研究論文「BMI and risk of dementia in two million people over two decades: a retrospective cohort study」を、医学専門誌『The Lancet Diabetes & Endocrinology』に発表した。
BMIと認知症発症のリスクの関係について、20年間にわたり約200万人を対象に調査したもので、中年のメタボは認知症につながるというこれまでの痛切とは逆である、やせすぎこそが認知症発症の危険性をはらんでいるとの報告をおこなった。
BMI20未満の低体重者は34%のリスク
イギリス臨床実習研究データリンク(CPRD)において、BMIの記録があり認知症を発症していない1,958,191人を対象に追跡調査をおこなった。平均年齢55歳(45歳~66歳)、BMIスコアの平均は26.5であった。
BMIとは、体重と身長の関係から算出されるボディマス指数で、BMIスコアが18.5~24.99であれば正常で健康的な体重とされている。
調査開始後9年間で、45,507人が認知症を発症。BMI20未満の低体重の人は、認知症のリスクが34%以上という高い結果がでた。
そしてBMIスコアが上がるほど発症の割合は減少し、なんとBMI40という重度の肥満である人の発症リスクがもっとも低く、BMI正常値の人より発症のリスクが29%も減少という驚きの結果がみられた。
本当に肥満は認知症のリスクをはらんでいないのか?
またこの調査に関しては、飲酒や喫煙による認知症への影響はほとんどないことも報告された。一方研究者らは、肥満は認知症になりにくいとの結果がしめされたことは、決して過度に太ることを推奨しているわけではないとしている。
脳血管性認知症は、軽度の脳梗塞など血管障害によって脳機能が低下していくことで引きおこされる。高血圧や高脂血症、糖尿病など肥満と大きく関わる生活習慣病が要因となっていること、さらに肥満が死を早めるという点を忘れてはならない。
認知症ねっととしても、本調査結果は一概に受け入れるべきではないとは考えている。実際に、「糖尿病患者は、アルツハイマーの発症リスクが4.6倍になる」「高血圧患者も脳血管性認知症のリスクが3.4倍になる」という調査報告も行われている。これらの生活習慣病が、肥満と関係あることは明らかだ。本結果は、あくまで一調査として考えたほうがよいだろう。
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▼外部リンク
「The Lancet Diabetes & Endocrinology」
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