一人暮らし高齢者への支援とは?~一人暮らしでも安心して暮らせる社会に~

2020年3月30日


65歳以上の一人暮らしの高齢者は男女共に増加しています¹⁾。一人暮らしの高齢者が生活する上でどのような問題が生じるのでしょうか。また、どのような支援が行われているのでしょうか。

今回は、一人暮らし高齢者の問題と支援についてご説明します。

この記事の執筆
認知症ねっと
認知症ねっと編集部
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この記事の目次
  1. 一人暮らし高齢者は増加している
  2. 一人暮らし高齢者に生じる問題とは?
  3. どのような支援があるの?

一人暮らし高齢者は増加している

令和元年高齢社会白書¹⁾によると、平成27(2015)年の65歳以上の一人暮らしの人は、男性約192万人、女性約400万人で、65歳以上人口に占める割合は、男性13.3%、女性21.1%となっています。これは、昭和55年の65歳人口を占める割合と比べると、男性は5倍、女性は2倍に増加しています。

一人暮らし高齢者に生じる問題とは?

今まで入院や手術などを受けた経験のある方は、同意書に本人だけでなく、家族などがサインをする欄があるのを見たことがあるかと思います。これは、「身元保証人」という存在です。

しかし、一人暮らしの場合、身元保証人がいないため、入院や介護施設の入所を断られる場合がありました。身元保証人がいないと、万が一急変が起きた時や支払い時に施設の負担になる恐れがあるからです。そのため、2019年5月に厚生労働省では、「身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン」²⁾を作成しました。

ガイドラインによると、「身元保証・身元引受等」の機能・役割²⁾は以下の6項目です。

①緊急の連絡先に関すること
②入院計画書に関すること
③入院中に必要な物品の準備に関すること
④入院費等に関すること
⑤退院支援に関すること
⑥(死亡時の)遺体・遺品の受け取り・葬儀等に関すること

また、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な人は、成年後見制度を利用し、財産管理や医療・介護・福祉サービス等の契約の締結を行うことができます。

現時点で、成年後見制度を利用していない一人暮らしの高齢者が入院や入所、家を借りるなど身元保証人が必要な場面では、地域包括支援センターが連絡先を引き受けている場合があります。

本来、医師法では「正当な理由なく患者の受け入れを拒否してはならない」と定められており、厚生労働省では「身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて」³⁾を通知しました。

どのような支援があるの?

行政による地域での取り組みが行われています。

例えば、相談窓口を開設する、定期的な声かけを行う、高齢者安心情報キットの配布、身元の分からない遺体や引き取り手のいない遺体の火葬を行うなどを行っています。

また、身元保証会社によるサービスもあります。例えば、入院や入所・賃貸住宅への入居時の身元保証人を引き受ける、日々の生活の支援、緊急時に対応、死亡時の争議や死後の対応などのサービスを行っています。

しかし、民間サービスの場合、高額な預託金や利用料、解約に関するトラブルなどが発生した場合もあります。身元保証人になってもらえる安心の反面、経済面や本当にそのサービスが必要か否かなどを地域包括支援センターに相談してみてはいかがでしょうか。

一人暮らしでも安心して生活できる社会にするためには、自分の人生をもう一度考え直してみることが大切ではないでしょうか。今のうちから準備しておくことが安心につながると思われます。

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参考文献:1)内閣府.令和元年版高齢社会白書(2020年3月30日アクセス)
2)厚生労働省.身寄りがない人の入院及び医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドライン(2020年3月30日アクセス)
3)厚生労働省.身元保証人等がいないことのみを理由に医療機関において入院を拒否することについて(2020年3月30日アクセス)

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