行方不明者の現状~認知症による行方不明者が年々増加しています

2019年8月13日

認知症による徘徊は、行動心理症状の1つとして挙げられています。いつも通い慣れた道が分からなくなると、不安や混乱、パニック状態になります。パニック状態に陥ると、より一層あせりが生じて判断ができなくなります。その結果、思いもよらない場所まで移動している場合もあります。

警察庁は「平成30年における行方不明者の状況」を発表しました。認知症による行方不明者の状況についてご説明します。

この記事の執筆
認知症ねっと
認知症ねっと編集部
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この記事の目次
  1. 認知症行方不明者の状況
  2. 徘徊による行方不明を防ぐためには

認知症行方不明者の状況

平成30年の行方不明者数は87,962人、そのうち認知症の行方不明者数は16,927人であり、全体の19.2%を占めています。行方不明者全体数はほぼ横ばいですが、認知症の行方不明者数は年々増加し、平成29年に比べて1,064人増えています。



年代別でみると、行方不明者の原因が認知症の人の割合は、80歳以上は85.2%、70~79歳は73.2%、60~69歳は30.6%、50~59歳は2.95%を占めています。

認知症の場合の所在確認までの期間は、受理当日が73.4%、7日までが99.4%、14日までが99.8%、1か月までが99.9%でした。

認知症の場合の所在確認の状況として、警察や届出人等において所在が確認された人は16,227人(96.2%)、死亡確認は508人(3.0%)でした。

徘徊による行方不明を防ぐためには

認知症の人にとって道に迷うということは、非常にパニック状態であると同時に、著しく体力を消耗します。所在の確認までの期間は短いですが、思った以上に長い距離を歩いていたり、遠くへ移動していることもあります。また、家族にとっても、どこにいるのか、事故に遭っていないか、トラブルに巻き込まれていないか…など所在が確認されるまでには非常に心配です。

徘徊を予防するために、ドアに鈴をつけたり、門にセンサーやカメラをつける、衣服や持ち物にGPSをつける、QRコードをつけるなど様々な工夫が行われています。

一方で、家族の連絡先を衣服や持ち物に記載しておくことで、個人情報の流出などの問題も起こりかねません。連絡先を記載する際は、十分に気をつけましょう。

自治体によっては、QRコードが印刷されたラベルやシールを利用して、個人情報を守りながら、行方不明者の身元確認や家族への引渡しができるようなシステムを行っている地域もあります。

そして、認知症があっても安心して暮らせる街づくりを進めている地域もあります。徘徊するから外に出ないようにするのではなく、待ちぐるみで声を掛け合ったり、SNSを利用したりしながら、生命を最優先に保護する取り組みがあります。

大切なのは、家族だけで抱え込まないことです。 お住まいの自治体や地域でどのようなシステムがあるのか調べて利用してみましょう。

参考文献:1)警察庁生活安全局生活安全企画課 平成30年における行方不明者の状況(2019年7月8日アクセス)


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