直木賞作家が描く、夫・父・祖父である認知症の男と家族

2016年6月17日

右往左往する家族と、本人のにじみ出る思いが明るく丁寧に綴られる

直木賞作家である中島京子氏が、認知症の夫のいる家族の日常を前向きに描いた連作集「長いお別れ」。第10回中央公論文芸賞に続き、第5回日本医療小説大賞をダブル受賞した。

かつて区立中学の校長や公立図書館の館長をつとめた東昇平。今は妻・曜子とのふたり暮らしで、3人の娘と孫もいる。昇平は10年ほど前から認知症を患っている。

昇平が日々起こす様々な言動に、曜子や家族が振り回される。帰り道は忘れても難しい漢字はすらすら読める、迷子になって遊園地へ行ってしまう、入れ歯をなくしたり出てきたり、排泄のことや通院のこと、、、

そんな突拍子もない言動の中にも、認知症高齢者の思いがのぞく。

本人だけでなく家族の事情で介護の対応がどのように変わるのかといった、同居・別居家族の視点でも描かれている。

「長いお別れ」そして迎える結末は

そして、「長いお別れ」というタイトルで予想させる認知症者の終末は、同書ではどのように描かれるのか。

中島京子氏は1964年生まれ。2003年に小説『FUTON』で作家としてデビュー。2010年『小さいおうち』で第143回直木賞を受賞、2014年山田洋次監督により映画化される。

「長いお別れ」単行本と電子書籍で文藝春秋より出版。定価は1,500円プラス税。

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▼外部リンク
『長いお別れ』中島京子 文藝春秋BOOKS

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