男性作家が綴った、老父の介護体験~「父よ、ロング・グッドバイ 男の介護日誌」
2016年6月7日
ゆっくりと訪れる「家族の晩年」を正面から扱う
株式会社双葉社から4月22日、盛田隆二著「父よ、ロング・グッドバイ 男の介護日誌」が発売された。
アメリカでは、認知症の「少しずつ記憶を失くし、ゆっくりゆっくり遠ざかっていく」さまを「ロング・グッドバイ」と表現する。この本は、ベストセラー作家が、認知症となった父親の介護の日々を綴ったノンフィクション。
介護から看取りまでの間、何を覚悟し、ゆっくり確実に迫る死とどう対峙すべきかを読者に教示する一冊となっている。
作家の重松清氏が帯文に「読み進めるのがつらいのに、本を閉じられない。我が身を斬りながら「家族の晩年」を真っ向から描いた作家の覚悟に、圧倒された。」と寄せている。
父の看取りまでの経緯と想いが綴られる
著者の父親は、パーキンソン病で母親が他界した後に生きる意欲を失い、認知症を発症。加えて、母親が実家で面倒をみていた実妹も体調を崩す。このため著者は、男手の自分のみで実家の父の介護と、妹の面倒の両方をすることになった。
その後父親は、介護老人保健施設に入所するも、認知症が進行。さらに、父親は別の病気を患い入院するなどの経過を経て、看取り介護となる。
そのような日常の出来事を綴る中で、作家としての時間がとれずに、徐々につのる「先が見えない」ツラさを、書き表している。
盛田隆二氏は情報誌「ぴあ」編集者を続けながら書いた1990年のデビュー作『ストリート・チルドレン』で野間文芸新人賞候補作。1992年の第2作『サウダージ』は三島由紀夫賞候補作。2004年の『夜の果てまで』は30万部を超えるベストセラーとなった。
(画像はイメージです)
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