血中タンパク質の解析による認知症リスク予測検査に関する論文

発症リスクを把握することが大切
NECソリューションイノベータ株式会社(東京都江東区)とフォーネスライフ株式会社(東京都中央区)は、米国国立衛生研究所(National Institute of Health)、米国国立老化研究所(National Institute on Aging)、米国SomaLogic社、国立長寿医療研究センター、名古屋大学などと共同開発した末梢血中のタンパク質の解析による認知症リスク予測検査に関する論文を発表し、国際学術誌『Alzheimer’s & Dementia』(注1)に掲載されました。
両社は、生活習慣病と関連があるとされる、認知症(注2)などの疾病発症リスクを予測し、生活習慣の改善を促すサービスである「フォーネスビジュアス」に、本検査を実装し、2022年10月から提供しています。
論文のサマリー
・タンパク質測定技術(SomaScan®)により、認知症の発症と高い関連を示した25種のタンパク質を特定し、それを基にした認知症リスク予測検査を開発
米国および日本において、人種を越え検査が適用できることを確認
20年以内の発症予測の精度が、従来の遺伝子型検査と同等以上であることを確認
認知症の発症リスクは、加齢により一様に変化するのではなく、生活習慣の改善などでコントロールできる可能性を示唆
研究の背景
認知症の患者数は世界的に上昇傾向にあります。(注3)また、疫学的な研究から、認知症は生活習慣や環境の影響が大きく、生活習慣病と関連があるとされています。発症前に個人が意識的に生活習慣等の改善に取り組むために、発症リスクを把握することが大切です。
本研究チームは、認知症の発症リスクを予測することを目的に、アプタマー(注4)を活用して血中のたんぱく質を測定する技術(SomaScan®)によって、認知症リスク予測検査を開発しました。
研究の内容
米国ARIC研究(注5)に登録された、4つの地域の45~64歳の1万1千例以上の検体にSomaScan®を適用しました。その結果、認知症の発症と強い関連を示したタンパク質を25種に絞り込みました。これをもとに、認知症リスク予測検査を開発し、米国BLSA研究(注6)に登録された検体、および、日本のNILS-LSA研究(注7)に登録された検体で検査したところ、発症リスクの計測が可能であることを確認しました。
また、発症リスクの値が一生変化しない従来の遺伝子型検査の結果と、認知症リスク予測検査の結果を比較したところ、同等以上の予測の精度であることが認められました。さらに、認知症発症リスクは加齢で増加するにもかかわらず、生活習慣の変化によって、一部の人々の認知症発症リスクが低減されていると推測されるケースが報告されました。
(注1)Alzheimer’s & Dementia…Alzheimer associationが発行する、国際学術誌
https://alz-journals.onlinelibrary.wiley.com/journal/15525279
(注2)内閣府大臣官房政府広報室『政府広報オンライン』(2025.1)
https://www.gov-online.go.jp/article/202501/entry-7013.html#fifthSection
(注3)WHO” Global status report on the public health response to dementia”(2021.9)
https://iris.who.int/bitstream/handle/10665/344707/9789240034624-eng.pdf
(注4)アプタマー…特定のタンパク質などの分子に結合するように作られた人工核酸
(注5)ARIC研究…アメリカの4つの地域住人を対象にした研究
(注6)BLSA 研究…ボルティモアおよびワシントン D.C. 地域在住住人を対象にした加齢についての研究
(注7)NILS-LSA 研究…日本の国立長寿医療研究センターが保有する老化に関する長期縦断疫学研究
掲載論文URL
The Dementia SomaSignal Test (dSST):
A plasma proteomic predictor of 20-year dementia risk
https://alz-journals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/alz.14549
詳しくは下記外部リンクよりご覧下さい。
(画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
血中タンパク質の解析による認知症リスク予測検査に関する論文が国際学術誌に掲載
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