SEGNOSと東京都健康長寿医療センターが共同研究
血液1滴でアルツハイマー病の早期診断・治療の実現を目指す
株式会社SEGNOS(千葉市)と地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都板橋区)は、高速高感度免疫診断技術(ThermaLISA法)を活用した新たな早期アルツハイマー病スクリーニング検査法の共同研究を開始しました。
本研究は、SEGNOS社の磁性ナノ粒子(Therma-Max®)※1と、汎用性の高い卓上型検査機器を用いた高感度免疫診断技術(ThermaLISA法)により、早期アルツハイマー病(MCI期、プレクリニカル期)のスクリーニング手法の確立を目的としています。
本研究にて臨床検体を用いたデータを収集し、さらに取得したデータを使った、認知症疑いを判定するアルゴリズムの構築や、そのアルゴリズムをもとに認知症疑いを判定する症例の収集、評価を計画しています。
共同研究の背景
日本の認知症高齢者の数は、2012年で462万人と推計されており、2025年には700万人、65歳以上の高齢者の約5人に1人に達することが見込まれています※2。
認知症の診断は現在、アミロイドPET検査(画像検査)、脳脊髄液検査(髄液検査)、質量分析法(血液検査)などによって行われますが検査場所が限定的、大型分析機器の使用、高侵襲性、高コスト、低処理能力など、早期アルツハイマー病の発見を目的としたスクリーニング検査に用いるには困難な検査手法でした。
早期アルツハイマー病の早期発見、早期治療に繋げるためには、より多くの方が容易で簡便にスクリーニング検査を受けられる新たな検査手法の確立が望まれていました。
共同研究の概要
早期アルツハイマー病(MCI期、プレクリニカル期)の早期発見には、血液1滴を用いたバイオマーカー(Aβ、リン酸化タウなど)の検出が有効な手段と考えられていますが、その濃度は一般的に低濃度です。
特に血液中のリン酸化タウ217はアミロイドPET検査(脳内Aβの蓄積状態)と同等の精度で早期アルツハイマー病の早期診断が可能だとして、血漿バイオマーカーとして最も有望なバイオマーカーであると言われていました。
しかしリン酸化タウ217の血中濃度はピコグラム/mlオーダーと超低濃度であり、更にその血液1滴による検査となるとフェムトグラム/mlオーダーの超高感度な検査技術が求められていました。
今回の共同研究では、非特異的吸着が極めて低い磁性ナノ粒子(Therma-Max®)と、汎用性が高い卓上型検査機器(プレートリーダー等)を用いた高感度診断技術(ThermaLISA法)による早期アルツハイマー病(MCI期、プレクリニカル期)のスクリーニング手法の確立を目的としています。
更に東京都健康長寿医療センター研究所(認知症未来社会創造センター、木村哲也専門副部長)で開発されたデジタルELISA機器(SIMOA、SMC)とThermaLISA法を用いた、BF分離不要の超高感度免疫診断技術(デジタルThermaLISA法※3)では、特殊な前処理をすることなく、フェムトグラム/mlオーダーの血中のリン酸化タウ217の検出にも成功しています(添付図参照)。
多くの認知症患者の診断と治療にあたる東京都健康長寿医療センターの認知症研究における知見と、SEGNOSの高速高感度診断技術を活用することで、誰もが容易で簡便に検査が行える早期アルツハイマー病のスクリーニング検査法の確立を目指します。
※1 一般名:熱応答性磁性ナノ粒子
免疫診断等の前処理(バイオセパレーション)で使用されている数ミクロンサイズの磁気ビーズをナノサイズ化することにより、数十倍以上の高感度化を実現。 一方、ナノサイズの磁性粒子は磁気分離に長い時間を要していましたが、粒子表層に温度応答性を付与することで、トレードオフの関係にあった高感度化と高速化の両方を同時に実現することが可能になりました (https://segnos.co.jp/)。
※2 認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/nop101.pdf
※3 特願2022-170188(WO2024090399A1)
発明の名称:検体中の被験物質の検出方法(出願人:東京都健康長寿医療センター)
添付図(TM:Therma-Max)
(文頭画像はイメージ、文中画像はプレスリリースより)
▼外部リンク
SEGNOS(セグノス)と地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター 高感度免疫診断技術(ThermaLISA(サーマライザ)法)を用いた早期アルツハイマー病スクリーニング検査法の共同研究を開始
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